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蘇陽~五ヶ瀬東の調査結果を送付 九州横断自動車道延岡線

 国土交通省九州地方整備局は、九州横断自動車道延岡線(蘇陽~五ヶ瀬東)の新規事業化に向けた直轄調査結果をまとめ、宮崎県及び熊本県に送付した。信頼性の高いネットワークの確保や速達性・安全性の向上などを政策目標に掲げる一方、脆弱な地質地帯を通過する恐れがあるため、設計や施工に高度な技術を必要とすることを課題とした。

 九州横断自動車道延岡線は、熊本県上益城郡嘉島町の嘉島JCTを起点とし、山都町や高千穂町を経て、延岡市の延岡JCTを終点とする高速自動車国道。九州縦貫自動車道と東九州自動車道を結び、これらと一体となって循環型の高速交通ネットワークを形成し、九州の東西軸の強化や一体的な浮揚・発展に貢献する路線と位置付ける。

 現在は、嘉島JCT~矢部IC(延長23㎞)や、将来的に当該路線を構成する国道218号五ヶ瀬高千穂道路(延長9.2㎞)、国道218号高千穂日之影道路(延長5.1㎞)が事業中。今回、直轄調査結果を送付した蘇陽~五ヶ瀬東(延長7.9㎞)は、事業中の五ヶ瀬高千穂道路と隣り合う、熊本県及び宮崎県の県境部に位置している。

 蘇陽~五ヶ瀬東の直轄調査結果では、▽災害時にも機能する信頼性の高いネットワークの確保▽救急医療施設までの速達性・走行性の向上▽速達性・安全性の向上による雇用・定住の促進▽回遊性の向上による広域的な観光振興の支援▽走行性、速達性向上による産業活動の支援―の5項目を政策目標(求められる機能)に掲げた。

 並行現道である国道218号は、国が定める緊急輸送ルートに指定された重要路線であるが、当該区間の現道は平面及び縦断線形の厳しい箇所や土砂災害危険箇所が集中している。このため、線形不良箇所や土砂災害危険箇所等を回避し、災害時の救援活動等においても機能する信頼性の高い高速ネットワークの確保を期待する。

 また、山都町や五ヶ瀬町、高千穂町といった沿線地域は高齢化率が高く、速達性・走行性を向上させることで、管外救急搬送時間を短縮し、医療活動の連携を強化する必要がある。同じく、産業集積地への広域ネットワークを形成することで、通勤時間の短縮による定住及び自立を促進し、圏域全体の活性化を促すことも期待する。

 調査結果ではこのほか、沿線市町村の観光連携促進のため、九州中央地域横軸の移動時間短縮による連携を強化するため、延岡線の整備が不可欠であるとともに、全国有数の飼育数を誇る肉用牛のの生体搬送にあたり、商品価値低下の回避や大型トラックによる輸送効率の向上のため、線形不良個所を避けたルートの確保が必要とした。

 一方で、当該地域には特に脆弱な地質である蛇紋岩が存在し、加水時の膨張による脆弱化や崩壊などの発生の可能性があるという。こういった地質脆弱面が発現する可能性がある地帯をトンネルで通過するため、調査結果では「設計や施工方法の選定、施工管理に高度な技術力を必要とする」ことを技術的な課題に掲げた。

直轄調査結果