新型コロナウイルス感染症の社会・経済活動への影響が深刻化する中、全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は3月27日、国土交通省に対して緊急要望を行った。民間工事の落ち込みに対応する公共事業予算の増額や、中小建設業の連鎖倒産を防ぐセーフティーネットの構築をはじめ、公共事業の工期延長や請負金額変更への対応について、現場監督職員や、地方自治体など直轄以外の公共発注者への周知徹底を求めた。現場で感染者が出た場合の、監理技術者等要件の時限的な緩和も要望した。
国交省に提出した要望書ではまず、感染症の影響による工期延長や請負金額変更などでの同省の対応を評価。民間工事での資機材の調達難や感染者の発生などについても「契約約款での『不可抗力』に該当する旨の通知を矢継ぎ早に発出していただいた」と感謝した。
そして、建設業界が一丸となって感染症の拡大防止に努めると同時に、社会資本整備のために受注工事の施工に全力を尽くす考えを強調。一方、「この難局を乗り越え、地域建設業が使命を果たし続けるためには、財政措置や国からの指導などが不可欠」と訴えた。
具体的な要望事項は、「財政措置など公共事業量の確保」と「具体的な工事での対応」の二つの課題に分けて示した。
事業量の確保では、景気悪化による民間工事の冷え込みを懸念。災害被災地以外の地域の建設業には人材など施工に余力があるとし、公共事業予算の増額を求めた。さらに、感染症の影響の長期化によって民間発注者の倒産と元請け代金の未払いによる、関係する建設企業の連鎖倒産の可能性を指摘。中小建設業のセーフティーネットの構築の必要性を伝えた。
さらに、2020年度の新規発注について、Cランクの繰り上がり工事などによる地域建設業の受注機会の拡大を含め、円滑な実施を要望した。
具体的な工事で発生する課題については、工期延長や請負金額変更、繰り越し手続きなどに関する現場監督職員の適切な対応をはじめ、資材の調達難があった場合の資材の変更や、資材価格が高騰した場合のスライド条項の運用を求めた。さらに直轄以外の発注者へのこれらの徹底も訴えた。
また、現場での感染に伴う監理技術者等要件の時限的な緩和のほか、現場でのマスクや消毒液などの確保について配慮を求めた。
一方、感染症の影響で講習会が激減してCPD取得が困難になっているとし、総合評価での取り扱いでの配慮を要望した。