国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所と宮崎県及び高鍋町は、小丸川下流部の背後地である宮越地区で浸水被害が頻発していることを踏まえ、「小丸川宮越地区総合内水対策計画」を策定した。ハード対策として、排水ポンプの増強や町道嵩上げに取り組むほか、土地利用規制や浸水情報の見える化といったソフト対策も推進する。
堤防整備による治水対策が進められている小丸川水系のうち、下流部の背後地は堤内側の地盤高が洪水時の河川水位に比べて低い地形特性を有しており、05年9月洪水、18年9月洪水と立て続けに浸水している。特に、05年9月洪水では広範囲で内水被害が発生し、中でも宮越地区では多くの家屋浸水被害が発生している。
課題解消に向けた策定した小丸川宮越地区総合内水対策計画では、10年に1回程度の洪水に対して、床上浸水被害を解消することを目標に掲げた。宮越地区で実施可能、かつ整備効果が見込める対策として、排水対策・流出抑制対策・浸水被害軽減対策の3つの分野に分けて洗い出し、施策の効果や実現性等を考慮して施策を決定した。
概ね5年以内に実施するハード対策では、雨水流入による家屋浸水被害を防ぐため、過去の浸水実績や地区内の主要な河川状況を踏まえ、宮越樋管地点(小丸川右岸2k300付近)に排水ポンプを設置する。近年頻発する家屋の床上浸水被害等を概ね解消するため、ポンプの排水量を増強(3.9m3/s)する。事業主体は国土交通省。
また、高鍋町が事業主体となり、概ね5年以内に町道の嵩上げを行う。境界部に隣接する道路高の嵩上げを行うことで、宮越区域から中州区域への流出抑制対策を図る。
同時に、国・県・町が連携してソフト対策にも取り組む。概ね5年以内を目途に、道路浸水等に伴う集落孤立時の避難対策の検討や防災行政無線等の活用、地域防災(マイハザード)マップの作成支援、浸水情報の見える化(川標)、土地利用規制(災害危険区域の設定等)、防災リーダーの育成・防災教育の推進などに取り組む。