宮崎県は、公共事業の事前評価制度で２０２０年度の新規着手を妥当とした事業を明らかにした。宮崎県公共事業評価委員会に諮問した総事業費１０億円超の大規模事業３件に加え、農政水産部が事前評価を行った経営体育成基盤整備事業や畑地帯総合整備事業、ため池等整備事業、中山間地域総合整備事業の計９件に新規着手する予定でいる。
効率的で効果的な社会資本整備の実現を目的に、県は公共三部が所管する事業費５億円以上(環境森林部は２億円以上)の事案について、着手前に事業の妥当性を評価する事前評価を実施。１０億円超の大規模事業は識者等で構成する公共事業評価委員会に諮問し、それ以外は所管部ごとに総合的な検証を行い、事業の妥当性等を判断している。
１９年度に公共事業評価委員会で新規着手が認められた事業は、道路防災点検の要対策箇所を解消し、安全・安心な交通の確保を図る一般国道２１９号越野尾二之渡工区(西米良村)、Ｌ１津波から人命及び財産を守るため、防潮堤や護岸の新設・嵩上げを行う高潮対策事業外浦港海岸(日南市)、Ｌ１津波による浸水被害を軽減させるため、陸揚岸壁や防波堤の地震・津波対策を行う水産生産基盤整備事業土々呂漁港(延岡市)の３件。
これら以外の事前評価では、農政水産部が所管する農業用河川工作物応急対策事業１件、ため池等整備事業１件、経営体育成基盤整備事業３件、畑地帯総合整備事業３件、中山間地域総合整備事業１件の９件を審議。事業の目的や概要、費用対効果などを確認し、いずれも２０年度に新規着手することを妥当と判断した。
このうち、農業用河川工作物応急対策事業では、脆弱化している大島地区(串間市)の頭首工を改修し、災害の未然防止を図る。事業費は６億９１００万円で、事業期間は２３年度まで。また、ため池等整備事業では、堤体決壊の恐れがある籾木池(国富町)の改修を行う。事業費は８億３８００万円で、事業期間は２４年度まで。
経営体育成基盤整備事業では、東原田地区(えびの市)や沖田第１－１期地区(延岡市)で整地工や道路工、用水路工、排水路工といった区画整理等に取り組み、農業生産性の向上や農業経営の安定を図る。野尻原３期地区(小林市)では、水管理の省力化や効率的な営農を目指し、パイプラインや農道の整備を実施する。
一方、畑地帯総合整備事業では、農業経営の安定や担い手の経営規模の拡大・育成、中心経営体等への農地集積を図るため、▽小林東部第２－２期地区(小林市)▽大河平４期地区(えびの市)▽田代・出水１期地区(えびの市)―の３地区で、農業用用排施設や区画整理、農道整備、鳥獣侵入防止柵の設置等に取り組む。
このほか、中山間地域総合整備事業では、農業生産コストの低減及び生産性の向上を目的に、美郷地区(美郷町)で農業生産基盤と農村生活環境基盤を一体的に整備し、農業者の生活安定や地域の後継者となる若者の定住促進を図る。各事業の概要や事前評価シートは宮崎県のホームページで確認できる。
計画概要等は次のとおり(①地区②事業費③事業期間④全体計画)
▽農業用河川工作物応急対策事業＝①大島地区(串間市)②６億９１００万円③２０年度～２３年度④頭首工改修１式
▽ため池等整備事業＝①籾木池(国富町)②８億３８００万円③２０年度～２４年度④堤体工１２４．９ｍ、洪水吐工１式、底樋工１式
▽経営体育成基盤整備事業＝①東原田地区(えびの市)②９億２３４０万円③２０年度～２５年度④区画整理(整地工４２．８㌶、道路工６０６０ｍ、用水路工６０００ｍ、排水路工６１００ｍ)
▽経営体育成基盤整備事業＝①沖田第１－１期地区(延岡市)②９億７４１０万円③２０年度～２８年度④区画整理工(整地工３２．３㌶、道路工６１６０ｍ、用水路工５０４０ｍ、排水路工３８１０ｍ)、暗渠排水工３２．３㌶
▽経営体育成基盤整備事業＝①野尻原３期地区(小林市)②７億８３００万円③２０年度～２５年度④農業用用排施設７３．８㌶(管水路１万２２００ｍ)、農道１１００ｍ
▽畑地帯総合整備事業＝①小林東部第２－２期地区(小林市)②９億９０００万円③２０年度～２５年度④農業用用排施設５６㌶(管水路１万６５８０ｍ、散水施設１式)、区画整理(整地工４㌶、道路工１７００ｍ、排水路工１１００ｍ)、鳥獣侵入防止柵１５００ｍ
▽畑地帯総合整備事業＝①大河平４期地区(えびの市)②９億５７７０万円③２０年度～２５年度④農業用用排施設３０．５㌶(管水路７７１０ｍ、散水施設１式)、区画整理(整地工２９．１㌶、道路工５０１０ｍ、排水路工４８３０ｍ)、農道１００ｍ、鳥獣侵入防止柵６８４０ｍ
▽畑地帯総合整備事業＝①田代・出水１期地区(えびの市)②９億４０５０万円③２０年度～２５年度④農業用用排施設３１㌶(管水路６９８５ｍ、散水施設１式)、区画整理(整地工２５㌶、道路工２６１０ｍ、排水路工５９１０ｍ)、鳥獣侵入防止柵１万２０００ｍ
▽中山間地域総合整備事業＝①美郷地区(美郷町)②７億２１００万円③２０年度～２５年度④農業生産基盤整備(農業用用水６１２０ｍ、農業用排水４０６ｍ、農道３７７ｍ、ほ場整備４㌶)、農村生活環境整備(農村公園１箇所)。