都市のコンパクトシティ化を推進するため、宮崎市は「立地適正化計画」の素案をまとめた。人口減少や少子・超高齢社会の到来を見据え、中心市街地や各地域の魅力向上、公共交通による拠点間ネットワークや日常生活圏域内の移動手段の確保、日常生活サービスが身近に享受できる環境を確保し、暮らしやすさの向上を図る。
都市再生特別措置法(2014年8月改正)に基づく立地適正化計画では、市町村が居住を誘導して人口密度を維持する「居住誘導区域」、生活サービスを誘導する「都市機能誘導区域」などを計画に定め、人口減少と高齢化に対応したコンパクトシティ政策を推進する。区域内では予算・税制上の支援措置を受けることができる。
宮崎市がまとめた立地適正化計画の素案では、「人口」「公共交通」「活力・安全」「都市経営」の観点から、市の現況と課題を整理。▽多様な都市機能の集約と中心市街地など拠点的地域の活性化▽利便性が高く、総合的な交通ネットワークの構築▽市民が安全・安心に暮らせる持続可能な生活環境の確保―を基本的な方針に掲げた。
都市機能誘導区域の設定に際しては、都市計画マスタープランで位置付けた中核拠点(市中心部)及び地域拠点(佐土原・田野・高岡・清武)のほか、日常生活圏域の中心的な生活拠点を基本として設定。その上で、用途地域の設定状況や公共交通のアクセス性の確保、都市機能の配置状況などを条件として区域の設定を行った。
このうち中核拠点には、行政・商業機能のほか、都市圏全体の魅力や都市活力の向上を図る高次都市機能を提供する施設を誘導。地域拠点及び生活拠点には、人口減少・少子高齢化社会において圏域居住者の生活利便性を確保するため、日常生活に必要な医療機能や商業機能、教育文化機能などを提供する施設を維持・誘導する。
一方、居住誘導区域は、徒歩や主要な公共交通路線等を介した拠点地区へのアクセス性、区域内の人口密度水準を確保することによる生活サービス施設の持続性、対象区域における災害等に対する安全性を基本として区域を設定。ただし、津波浸水想定区域・洪水浸水想定区域を対象に、独自の「防災対策推進区域」を設定する。
都市機能誘導区域外に誘導施設を整備する場合や、都市機能誘導区域内で誘導施設を休止・廃止する場合は、原則として開発行為等に着手する30日前までに市への届出が必要となる。同じく、居住誘導区域外で3戸以上または1000m2以上の住宅等に係る開発行為や3戸以上の建築行為を行う場合も、市への届出が必要となる。
素案は、ホームページや市民情報センター、各総合支所・地域センター・地域事務所で公開し、市内在住者や在勤者などを対象に2月28日まで意見を募集する。