▲実習を行うモンゴルのインターン
基礎地盤コンサルタンツ(柳浦良行代表取締役社長)が支援しているモンゴルの高等専門学校での地盤工学専門技術者の養成が軌道に乗り始めている。2018年から実施しているインターンシップは、今年も4年生を対象にした土質試験に関する研修プログラムを約1カ月間にわたって行い、2人のモンゴル人学生が今月7日にプログラムを修了したばかりだ。柳浦社長は「私たちの支援活動がモンゴルに多くの地盤工学の専門技術者が生まれるきっかけになればいい。高専を卒業した技術者を志す若者が来日して一定の期間、日本の労働力の一端を担い、培ったスキルを母国の発展に活かすような流れを作りたい」と話している。
モンゴルでは、過去に日本の高専に留学した経験を持つ教育関係者が中心となって、日本独自の教育制度である高等専門学校制度を導入する活動が展開され、これに呼応して09年に設立された「一般社団法人モンゴルに日本式高専をつくる支援の会(中西佑二代表)」が5年間にわたってこの活動を支援。14年9月に「モンゴル工業技術大学付属モンゴルコーセン技術カレッジ」をはじめとする三つの高専が、同国の首都ウランバートルに誕生。19年6月には初の卒業生142人が学び舎を巣立っている。
「支援の会」からの要請を受けて三つの高専への支援を決めた同社は、モンゴルのこれからのインフラ整備には、永久凍土などが分布している同国の特殊な地盤を知るエンジニアの養成が不可欠と判断。モンゴルの高専での地盤工学の専門科目の教育内容の充実に貢献しようと、17年には国内各地から土質試験に必要な機材を集めてウランバートルに送る一方、18年からはモンゴルの高専生のためのインターンシップを開講。毎年4年生を対象に、技術力に定評のある同社の土質試験に関する研修プログラムを約1カ月にわたって履修する機会も提供している。
このように、高専の教育内容の充実には支援の手が届くようになった一方で、いま、モンゴルでは「卒業生のキャリアアップ」というあらたな課題が持ち上がっているという。
同社はこうした新たなニーズに応え、「4月から同国の高専卒業生を対象とする1年間の高度な技術研修を行う」(鈴木孝雄・事業本部本部長)こととしており、意欲のある学生の大学進学や、就職も視野に入れたさまざまなキャリア形成モデルの提示につなげていく考えだ。