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社会保険加入率、労働者単位は87% 国交省調査

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▲社会保険加入率の推移

 国土交通省の2019年10月時点の調査によると、建設業の社会保険加入率(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)は、企業単位で前年度比1.7ポイント増の98.4%、労働者単位で1.0ポイント増の87.6%となった。加入対策が進み、ここ数年は加入率の伸びが鈍化しているが、対策前の11年10月時点と比べ、企業単位で14.3ポイント、労働者単位で30.9ポイント上昇した。

 国交省は、毎年度の公共事業労務費調査で、公共工事に携わる企業・労働者の加入状況を把握。今回は19年10月時点の加入状況を調査し、加入率を集計した。

 企業単位の3保険の加入率は、元請けが99.6%と最も高く、1次下請けが98.9%、2次下請けが97.2%、3次下請けが93.6%となった。労働者単位では、元請けが90.7%と最高で、2次下請けが89.6%、3次下請けが88.8%、1次下請けが85.9%の順に加入率が高い。

 今回は、公共工事設計労務単価の職種別で年金保険加入率も集計。これによると、厚生年金保険・国民年金の未加入率が最も高かったのは「交通誘導警備員B」の20%で、「軽作業員」の13%、「潜水連絡員」の10%、「左官」の9%が続いた。

■法定福利費「全額受け取った」は6割

 国土交通省が建設業許可業者を対象に行った調査で、直近の1現場で法定福利費を全額受け取ったと回答した1次下請けが公共工事で66.4%、民間工事で63.6%と、公共・民間ともに6割を超えた。ただ、3次下請け以下に限ると、法定福利費を全額受け取ったとの回答は、公共工事で35.7%、民間工事で58.1%に低下している。

 調査は、建設業許可業者から無作為に抽出した3万者を対象に11月~12月に実施。有効回答数は5471者。

 下請けが元請け・上位下請けに社会保険料を請求する「法定福利費を内訳明示した見積書」(標準見積書)は、公共工事では1次下請けの68.1%、2次下請けの59.9%、3次下請け以下の63.6%が提出したと回答。民間工事では、1次下請けが54.6%、2次下請けが50.1%、3次下請け以下が40.2%で活用している。

 標準見積書を提出した結果、公共工事で法定福利費を100%受け取ったと回答した1次下請けは66.4%で、2次下請けが51.5%、3次下請け以降が35.7%だった。民間工事でも、法定福利費を100%受け取った1次下請けは63.6%と公共工事との間に大きな差はない。2次下請けは45.1%、3次下請け以降は58.1%となっている。