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[連載]ガードマンが足りない!② 「警備員を常時募集」

 「固定客を優先し、飛び込みは断っている」。建設業者からの交通誘導警備の依頼に関して、ある東京都内の警備会社の経営者はそう話す。「固定客からの依頼に対しても100%対応できていない」

 厚生労働省が毎月まとめている、ハローワークでの職業紹介状況によると、警備員が該当する「保安の職業」の9月の全国平均の有効求人倍率は8.02倍だった。全職種の1.57倍を大きく上回った。

 しかし、保安の職業には、自衛官や警察官、看守といった職業も含まれる。8.02倍という数字は、警備員の人手不足の実態を厳密には反映していない。また警備の中でも、仕事には交通誘導警備(2号業務)のほか、施設警備(1号業務)や運搬警備(3号業務)、身辺警備(4号業務)などがある。

 前出の警備業者は「交通誘導警備に限れば、求人倍率は恐ろしく高いものに跳ね上がる」とみる。そして「そもそも警備員の求人をハローワークに出してもほとんど応募がない」と言う。この業者が警備員の募集に使っているのはインターネットの求人サイトや求人フリーペーパーだ。

 交通誘導警備と、イベントなどの雑踏警備を中心に年間約200億円を売り上げる、都内に本社を置く別の中堅警備会社では、インターネットやフリーペーパーでの求人に年間約5~6億円の予算をかけている。採用単価は、研修費を含め1人約20万円になる。しかし、1週間程度で採用者の半数が辞めていく。1年間で約2500人を採用し、約2000人に辞められるという。

 多くの警備会社は求人に予算を使い、警備員を常時募集している。交通誘導警備では「2年で人が100%入れ替わる」という声もある。

 従業員の求めに応じて日当の日払いを行っている警備会社も少なくない。高い離職率の背景には、警備員の職業が、日銭を稼ごうとする人の受け皿になっていることもあるだろう。

 しかし多くの警備業の関係者は、交通誘導警備員の定着率の悪さと人手不足の背景にある問題として、安い労務単価と低賃金、厳しい就労環境を指摘する。(地方建設専門紙の会・建通新聞社)

=つづく=