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外浦海岸など3事業の着手了承 宮崎県公共事業評価委員会

 宮崎県公共事業評価委員会(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授)の2019年度第4回会合が2月17日に開かれ、国道219号越野尾二之渡工区や外浦港海岸及び土々呂漁港の整備に20年度から新規着手することを委員が了承した。比較的発生頻度の高いL1津波等への対策として、外浦港海岸では防潮堤や護岸の新設・嵩上げを、土々呂漁港では防波堤の新設や改良・延伸などに取り組む。

 公共事業評価は、一定規模以上の事業の必要性と効果を客観的に評価することで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 17日に開かれた会合では、県土整備部が所管する道路事業「一般国道219号越野尾二之渡工区」(西米良村)、同じく海岸事業(高潮対策事業)「外浦港海岸」(日南市)、農政水産部が所管する水産生産基盤整備事業「土々呂漁港」(延岡市)の事前評価を実施。事業の目的や整備概要、事業期間、目標完成年度などを県の担当者が説明した。

*一般国道219号越野尾二之渡工区

 一般国道219号は、熊本市を起点とし、湯前町や西米良村、西都市を経由して宮崎市に至る幹線道路。県内区間約74㎞のうち約13㎞が未改良区間である。幅員狭小や線形不良、急勾配等の区間を解消することで走行性を向上させるとともに、道路防災点検における要対策箇所を解消し、安全・安心な交通の確保を図る。

 当該事業では、西米良村越野尾字越野尾を起点、同越野尾字二之渡を終点とする越野尾二之渡工区の改良を行う。計画延長は1.2㎞で、計画幅員は5.5(7.0)m。区間内には、(仮称)1号橋(延長101m)を新設するほか、既設の越野尾橋(延長142m)の拡幅を行う。全体事業費は24億2000万円。目標完成年度は28年度。

*海岸事業(高潮対策事業)外浦港海岸

 数十年から百数十年の頻度で発生する津波(L1津波)から人命及び財産を守るため、日南市の地方港湾・外浦港に於いて防潮堤や護岸の新設・嵩上げを行い、L1津波による被害の軽減を図る。対策箇所の総延長は2570mで、新設が790m、嵩上げが1780m。整備する防潮堤の地盤からの高さは1.4~2.6m程度とする。

 防潮堤等を整備することにより、整備前で93万6000m2と想定される周辺地区の浸水面積は、整備後には9万6700m2となり、整備前から約90%減少する。同じく、被災家屋数は858世帯から0世帯に、被災事業所数は51事業所から12事業所に減少する。全体事業費は51億2100万円。目標完成年度は29年度。

*水産生産基盤整備事業土々呂漁港

 L1津波による港湾施設の被災や背後地域への浸水被害を軽減させるため、延岡市の土々呂漁港で陸揚岸壁や防波堤の地震・津波対策を実施するとともに、海岸保全施設との多重防護により災害後の生産体制を維持する。また、防波堤の新設や改良・延伸も行い、港内の静穏度を確保して、安定的な水産物供給体制の確保を図る。

 当該事業では、東防波堤の新設(延長80m)や西防波堤の改良及び延伸(延長219m)、既設岸壁の改良(延長99m)を実施。防波堤及び岸壁のいずれも、L1津波への対応として粘り強い構造を採用する。概算事業費は24億4000万円(東防波堤9億円、西防波堤12.9億円、岸壁2.5億円)。目標完成年度は29年度。

■油津港東地区の事業継続を了承

 会合ではこのほか、県土整備部が所管する港湾改修(防災安全対策)事業「油津港東地区」(日南市)の再評価を行い、事業を継続することを委員が了承した。県南地域の物流拠点として、増加する貨物や船舶の大型化に対応するため、外郭施設(防波堤)や係留移設(岸壁)、水域施設(泊地)、保管施設(埠頭用地)の整備に取り組む。

 全体事業費約523億に対し、19年度末の事業進捗率は95%となる見通し。これまでに東防波堤や防波護岸、岸壁2バース、泊地2箇所、埠頭用地の整備が完了している。今後は、既設岸壁(水深12m)の耐震強化を20年度に完了させ、残る西防波堤の整備を推進する方針。計画では22年度の事業完了を目指している。