▲ドローンによる橋梁点検の模様
建設コンサルや地質調査、測量等を手掛ける宮崎市の株式会社親協(新城河一郎代表取締役)は、橋梁点検にドローンを活用するなどして作業効率を向上させ、確実性と時間短縮の実現を目指している。国の補助金や県の支援制度を活用し、最新技術を積極的に導入することで、地元企業として不測の事態に迅速に対応できる体制を整える。
道路管理者に義務付けられた橋梁等の5年に1度の定期点検が18年度で一巡し、県内ではほぼ全ての施設で1巡目の点検を終えた。19年度から2巡目を迎えるにあたり、国土交通省は19年2月、橋梁・トンネルの定期点検要領を見直し、近接目視を補完するドローンやロボットカメラなどの新技術の導入を認めている。
同社は、自社で所有する5種類のドローンを橋梁や構造物の点検業務のほか、写真測量、赤外線サーモグラフィなどに活用。それぞれの業務に適した機種を現場に配置し、業務履行の確実性と作業時間の短縮を目指している。今年2月には、陸上・水中を問わずに計測が可能なグリーンレーザーによる計測システムも導入した。
ドローンを活用した橋梁点検では、ドローンで撮影した写真を過年度の写真と比較して損傷の進行具合を確認。損傷の進行が確認されたものや、過年度の点検でコンクリートの劣化が確認されたものは、打音や触診で最終的な診断を行う。従来の点検を必要箇所のみに絞り込むことで、点検に係る費用や時間を削減できるという。
このほか同社では、県内企業で初めて「ロープアクセス技術」(NETIS登録)を採用。橋梁点検車や高所作業車が使用できない橋梁形式や現場条件下で、有資格者がロープを伝って登高・下降や横移動をしながら、安全かつ容易・迅速・確実に近接目視で点検を行う。現地踏査にドローンを組み合わせ、作業の効率化にも努めている。
昨年8月には、防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定する「事業継続力強化計画」の認定も取得。災害時に社員及びその家族の安全と生活を守るため、また、災害復旧の川上に位置する測量設計を担う建設コンサルとして「早期復旧」という社会の要請に応えるために、事業継続力の強化に取り組む考えでいる。
新城社長は「ドローン点検はコストも安価で、時間も短くて済むため、今後、財政難の地方自治体で増えていくと思われる」と所見を述べる一方で、「樹木の影響や鋼橋で部材が輻輳している部分など、ドローンで全てが確認できるわけではないため、次回は近接目視で行うなど、安全を担保していく使い分けが重要」と強調する。
また、新技術の導入等に伴い「業務自体の効率性が上がれば、働き方改革の推進や業界全体の魅力アップにもつながる」と期待を込めつつ、「橋梁や道路等の社会資本は膨大なストックがあり、地元企業として健全な状態に管理する使命がある。建設コンサルとして国民、県民の安全・安心のために貢献していきたい」と意気込む。