宮崎県は2月13日、一般会計予算額を6127億8800万円とする2020年度当初予算案の概要を発表した。知事選挙の実施に伴い、前年度当初予算は骨格予算として編成したため、6月の肉付け後と比較して約76億(1.3%)の増額となる。普通建設事業費と災害復旧事業費で構成する投資的経費は約1313億円。防災・減災、国土強靱化対策や総合運動公園津波避難施設整備事業等の費用を盛り込んだため、投資的経費は前年度比で約20億円(1.5%)の増額となる。
20年度当初予算案は、昨年6月に策定した財政健全化指針に基づき、健全な財政運営を維持しつつ、人口減少下にあっても地域の活力を維持するため、重点施策に掲げる①地域や産業を支える人財の育成・確保②魅力的で持続可能な地域づくり③社会の変化に対応し、成長する産業づくり―の3つの柱に基づく取り組みを推進する。
当初予算案の一般会計予算額は、前年度比(6月補正後、以下同)1.3%増の6127億8800万円。特別会計は、公債管理特別会計の減額等に伴い、同4.3%減の2266億3804万円。公営企業会計は、県立病院事業会計の増額等に伴い、同27.4%増の635億6382万円となる。
一般会計の歳出予算を性質別に見ると、人件費が増加した一方で扶助費や公債費が減少した義務的経費は同0.1%増の2461億0086万円。普通建設事業費が増加した投資的経費は1313億0383万円で、同1.5%の増額となる。補助費や維持補修費が増加した一般行政経費は、同2.3%増の2353億8329万円。
投資的経費の内訳は、普通建設事業費が1159億2871万円(同1.8%増)、災害復旧事業費が前年度と同額の153億7512万円。普通建設事業費の内訳は▽補助事業763億6779万円(同1.8%減)▽単独事業289億9700万円(同0.4%増)▽直轄事業負担金105億6392万円(同44.4%増)―となる。
特別会計では、公共用地取得事業に6億6966万円(同19.6%減)、港湾整備事業に7億5216万円(同17.7%減)などを計上。公営企業会計では、電気事業に83億4123万円(同21.2%増)、工業用水道事業に6億7900万円(同17.6%減)、県立病院事業に544億9970万円(同29.3%増)などを計上する。
主な建設関連事業では、国民スポーツ大会等の開催に向けた県有スポーツ施設整備事業に21億1186万円、総合運動公園に避難デッキや盛土高台等を整備する津波避難施設整備事業に41億6000万円を計上する。また、新規事業として、県内建設産業PR促進事業に250万円、ダムツーリズム推進事業に900万円を充てる。
■防災・減災対策に220億、人口減少対策を加速
宮崎県の20年度当初予算案では、人口減少下においても持続可能な宮崎県の土台づくりを進めるため、①人口減少対策②文化・スポーツ大会の開催③防災・減災、国土強靱化対策④将来に向けた基盤づくり―の4つの対策に集中的に取り組む。
人口減少対策では、昨年6月に設置した基金等を活用し、社会減・自然減対策による人口減少の抑制のほか、移住・UIJターン・定住の促進、産業の魅力を高める雇用環境づくり、産業を支える多様な人材の育成・確保、地域で育てる子育て環境づくり、外国人材の受入れに向けた環境づくりといった取り組みを加速させる。
文化・スポーツ大会の開催に関しては、本県開催の国民文化祭及び全国障害者芸術・文化祭、東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせ、文化及びスポーツ環境を国内外に発信するとともに、観光資源を活用して国内外からの誘客を促進させる。また、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催準備も着実に進める。
最終年度を迎える防災・減災、国土強靱化対策に関しては、県内全域の交通インフラや防災インフラ等の災害時の機能維持を目的に、補助・交付金事業を活用した各種整備を推進するとともに、一体的な整備により一層の効果が見込まれる県単独公共事業を併せて実施する。20年度の当初予算額は220億4685万円を見込む。
補助・交付金事業の予算額は164億7579万円で、法面防災対策や橋梁耐震補強、河道内樹木伐採・掘削、堤防強化、土砂災害防止施設整備、耐震強化岸壁整備等に取り組む。直轄事業負担金は9億3106万円。県単独事業では、避難道路整備や橋梁耐震対策、護岸整備、漁港施設整備、急傾斜地崩壊防止施設整備等を実施する。
このほか、将来に向けた基盤づくりでは、本県の確かな未来を築いていくための基盤づくりとして、防災拠点庁舎整備や県立宮崎病院再整備、県有スポーツ施設整備、宮崎駅西口駅前広場整備に取り組む。また、東九州自動車道や九州中央自動車道をはじめとする交通・物流基盤の更なる強化にも取り組む。
宮崎県の20年度当初予算案に於ける防災・減災、国土強靱化対策は次のとおり(①整備内容②箇所数③20年度予算額④18~20年度予算総額、単位=千円)。
*補助公共・交付金事業
〔環境森林部〕
▽治山事業=①治山施設整備②7箇所③532,035④2,838,741
▽自然公園事業=①自然公園等整備②4箇所③78,000④2,178,086
▽森林整備事業=①森林整備②853㌶③123,676④316,339
▽林道事業=①林業専用道整備②5箇所③51,600④51,600
〔農政水産部〕
▽農村整備事業=①防災重点ため池改修等②19箇所③750,839④1,929,772
▽漁港整備事業=①漁港施設整備②2箇所③588,000④1,592,010
〔県土整備部〕
▽道路事業=①法面防災対策、橋梁耐震補強等②63箇所③6,605,910④16,452,388
▽河川事業=①河道内樹木伐採・掘削、堤防強化等②31箇所③5,256,400④16,335,400
▽砂防事業=①土砂災害防止施設整備②11箇所③1,297,890④2,563,640
▽港湾事業=①耐震強化岸壁整備等②1箇所③908,250④1,910,550
▽街路事業=①冠水対策、無電柱化②2箇所③283,195④1,416,481
*直轄事業負担金
〔県土整備部〕
▽道路事業=①国道防災対策②1箇所③200,000④313,334
▽河川事業=①河川改修②4箇所③288,000④428,000
▽砂防事業=①火山災害防止施設整備②2箇所③119,198④165,864
▽空港事業=①空港整備②1箇所③323,866④323,866
*県単独公共事業
〔環境森林部〕
▽治山事業=①治山施設整備②16箇所③50,000④90,000
〔農政水産部〕
▽漁港整備事業=①漁港施設整備②4箇所③100,000④180,000
〔県土整備部〕
▽道路事業=①避難道路整備、橋梁耐震対策等②99箇所③2,600,000④4,600,000
▽河川事業=①護岸整備等②59箇所③1,700,000④2,230,000
▽砂防事業=①急傾斜地崩壊防止施設整備②15箇所③190,000。
《当初予算案の概要》