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街路樹生かした美しいまちづくり 日造協宮崎県支部が講演会

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▲写真は講演する藤田良司氏、中村満義氏、講演会の模様

 宮崎県が主催し、一般社団法人日本造園建設業協会宮崎県支部が共催する「街路樹を生かした美しい宮崎づくり」をテーマとした講演会が、2月7日に宮崎市内で開催された。行政や学識者、建設関連業者ら100人が参加し、街路樹の果たす役割やグリーンインフラの考え方、適切な剪定方法や維持管理について理解と見識を深めた。

 良好な景観形成を促進する宮崎県の「景観形成促進機構」に指定されている日造協宮崎県支部が、景観啓発事業の一環として開催したもの。開会挨拶で宮崎県支部の下湯一弘支部長は、美しい景観づくりに街路樹が欠かすことのできない存在であることを強調。講演会を通じて再度、景観や街路樹について考えてもらうよう呼び掛けた。

 株式会社九州造園の代表取締役で、日造協の福岡県支部長や国際委員会副委員長を務める藤田良司氏は、「街路樹を生かした美しい宮崎づくり」をテーマに講演。下枝をこまめに切り揃えることで、美しい景観を創出している海外の街路樹の模様を写真で紹介し、見通しの良い歩行空間が安全や防犯にも繋がっていることを説明した。

 また、街路樹が景観向上や環境保全、緑陰形成といった役割だけでなく、植栽帯にくぼみを持たせて雨水を貯留するなど、防災・減災機能を発揮するグリーンインフラになり得ることを指摘。雨水を活用した高架下の緑化や学校内のビオトープ池の事例を示し、「造園技術を生かして災害に強いまちづくりに取り組もう」とまとめた。

 有限会社昭和造園土木の代表取締役で、日造協宮崎県支部の中村満義副支部長は、県内の街路樹の現状を経験を交えながら説明。樹形が悪化することで、逆に景観を損ねる要因になることを指摘し、美しい街路樹を実現するためには、樹木の現況や空間条件、住民の要望を踏まえて管理目標樹形や剪定方針を定めることが必要だと説いた。

 これを踏まえ、▽美しい街路樹づくりの起案▽住民との合意形成▽街路樹診断シートを用いた現況診断▽樹形のつくり直しの可能性の判断▽管理目標樹形の設定▽年次計画の策定▽街路樹の施工・維持管理―といった樹形を作り直すための手順を説明。受発注者間の意識の統一や住民説明に役立つ街路樹剪定台帳のメリットも紹介した。