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真幸工区など4事業の継続了承 宮崎県公共事業評価委員会

 宮崎県公共事業評価委員会(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授)の2020年度第1回会合が12月25日に開かれ、事業中の道路事業1件と林道事業3件を継続することを委員が了承した。道路事業の国道447号真幸工区では、区間内に整備するトンネルの支保工法の変更や補助工法の追加等に伴い、約55億円を事業費に追加する。

 公共事業評価は、一定規模以上の事業の必要性と効果を客観的に評価することで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 25日に開かれた会議では、県土整備部が所管する道路事業「国道447号真幸工区」(えびの市)と、環境森林部が所管する林道事業「西林・神陰線」(日向市)、同「長谷・児原線」(西都市~西米良村)、同「小原・山神線」(美郷町)の再評価を実施。事業の目的や整備概要、進捗状況、目標完成年度などを県の担当者が説明した。

*国道447号真幸工区

 国道447号は、えびの市を起点に、鹿児島県伊佐市を経由して、出水市に至る幹線道路。九州縦貫自動車道と南九州西回り自動車道を最短距離で結び、広域交通ネットワークの一部を形成するとともに、南九州圏域の経済発展支援や防災機能の強化を図る。

 整備延長は約5㎞で、鹿児島県側を青木バイパス、宮崎県側を真幸バイパスとして各県が整備する。真幸バイパスの整備区間は、真幸駅前から県境までの3.2㎞で、真幸駅前から約600mを供用済。区間内の主要構造物である橋梁4橋が既に完成しており、今後は県境までのトンネル区間(延長1842m)の整備を行う。

 現地の地質状況の変化や有識者による検討委員会の意見、熊本地震の影響を踏まえ、トンネル支保工の変更や補助工法の追加、掘削土の処理方法の変更が必要となったため、105億円としていた事業費に55億円を追加し、全体事業費を160億円とする。

 具体的には、地山が劣悪な区間の鋼アーチ支保工を二重にするための費用に約10億円、天端部の崩落の可能性がある区間の補助工法(長尺鋼管先受)の追加に約20億円、重金属を含む掘削土の処理方法の変更に約15億円、国のガイドラインの改正に伴う切羽監視責任者の追加や労務単価・消費税の上昇分に約10億円を追加する。

 19年度末時点の進捗率は、見直し後の事業費ベースで約18%、用地ベースで100%。鹿児島県側でトンネル区間を除く改良工事が概成していることや、補助事業への移行で計画的に事業を進捗する体制が整ったことから、鹿児島県と連携を図り、円滑な事業の執行に努める。計画では27年度の全線供用を目指している。

*林道事業3件も継続

 林道事業の西林・神陰線では、日向市東郷町下三ヶを起点、同山陰を終点とする全体計画延長1万3800m(全幅4m)の森林基幹道を開設する。全体事業費は28億4400万円で、19年度末時点の進捗率は、事業費ベースで71%。完成区間は既に供用を開始しており、完成目標の24年度までに残区間(4457m)の整備を行う。

 同じく長谷・児原線では、西都市三納を起点、西米良村越野尾を終点とする全体延長2万2305m(全幅5m)の森林基幹道を開設する。全体事業費は51億4000万円で、19年度末時点の進捗率は、事業費ベースで93%。西都市側は全ての区間が完了しており、今後は西米良村側の残区間(1364m)の整備を進める。

 可能な限りL型擁壁工やかご枠擁壁工を採用し、切土・盛土のバランスをとるとともに、林道外への残土運搬費用の縮減を図るため、現場内盛土施設の設置に努めている。一方で、梅雨前線に伴う豪雨等で脆弱な土質の法面が崩壊し、復旧に時間を要したため、前回評価で19年度としていた完了予定年度を24年度に延長する。

 同じく小原・山神線では、美郷町南郷区の森林基幹道(延長1万6317m)の舗装を行う。近年の雨量強度に合わせた排水施設の布設替えに伴い、前回評価から事業費を2億円増額して5億2600万円とする。19年度末時点の進捗率は、事業費ベースで68%。引き続き、残区間(4491m)の整備を進め、25年度の完成を目指す。

*事後評価を報告

 会議ではこのほか、農政水産部が所管する経営体育成基盤整備事業▽浮堀地区▽中央耕地地区▽宇都地区―の3件、水産流通基盤整備事業目井津地区について、事後評価の結果を報告した。