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陸上競技場整備事業、民間対話の結果を公表 宮崎県

 宮崎県は12月16日、県陸上競技場整備事業に関するマーケットサウンディングの実施結果を公表した。民間事業者との対話では、入札参加資格に於ける企業や技術者の施工実績に関して、要件の緩和を求める意見が寄せられたほか、躯体等をプレキャスト化することで、建設工期の短縮やコストの削減が図られるなどの意見があった。

 進捗中の実施設計の精度を高めるとともに、事業に参加しやすい公募条件等を整理するため、県は12月2日から3日にかけて、民間事業者との対話によるマーケットサウンディングを実施。総合建設業者5社と公募条件や工期、施工計画、工事費について意見を交わし、対話の実施結果をホームページで公開した。

 公募条件に関しては、JVペアリングの必要期間を2週間~1カ月程度とする意見があったほか、入札参加要件における企業の施工実績について「建物種別を陸上競技場に限定することなく幅を持たせて」と要望があった。代表構成員と配置予定技術者の参加要件については、できる限り早い時期の公表を望む意見があった。

 また、陸上競技場や体育施設の実績を持つ技術者が不足していることから、「実績として認める工事について、一般的な竣工後10年以内ではなく、竣工後15年以内まで拡大してほしい」「施設用途を陸上競技場に限定せずに幅を持たせてほしい」「現場代理人等の従事工事も実績として認めてほしい」などの要望があった。

 工期に関しては、いずれの事業者も4週6休~8休での工期設定を希望しており、現在の想定工期(約36カ月)は妥当との意見が多数を占めた。また、工期短縮の方法については、躯体等のプレキャスト化を挙げたほか、関連工事との調整や周辺環境への配慮、コロナ対策を工期遅延リスクとする意見があった。

 施工計画に関しては、躯体等のプレキャスト化による足場・支保工の簡略化や工期短縮により、コスト削減の可能性があるとする一方、プレキャスト化に伴う工場製作費でコストが増加する恐れがあるとの意見もあった。いずれの事業者も、スムーズな施工や安全確保の観点から、関連工事との連絡調整が重要との認識を示した。

 工事費に関しては、積算期間として2~3カ月を希望する意見が多く、「GWやお盆などの長期休暇が含まれる場合は考慮してほしい」「質疑回答から入札までは十分な期間を確保してほしい」との要望もあった。新型コロナウイルスや作業員不足等の影響で、入札時期の工事費に関して懸念を示す意見もあった。

 山之口運動公園の区域を拡張して整備する陸上競技施設のうち、県が整備する主競技場はRC造(屋根部分S造)4階建、建築面積1万1940m2、延床面積2万0620m2。メイン・バックスタンドの椅子席を1万1500席程度、サイドスタンドの芝生席を3500席程度とする。税込の概算事業費は約120億円を見込む。

 施設の設計は佐藤・益田設計業務共同企業体が担当し、2019年3月~20年3月に基本設計を実施。20年4月から実施設計に取り組むとともに、同年6月からプラスPMがCM業務を開始した。計画では、21年3月までに実施設計を完了させ、21年12月~24年12月に主競技場の建設工事を行う予定でいる。

民間対話の実施結果