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出来高融資制度、コロナ禍で利用増加 振興基金

 建設業振興基金は、公共工事の出来高融資である「下請セーフティネット債務保証」と「地域建設業経営強化融資」、下請け企業の連鎖倒産を防止する「下請債権保全支援事業」の2020年度上半期の実績をまとめた。建設業の業況が好転したここ数年、利用実績が減少傾向にあったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う資金繰りへの不安などから、いずれも前年同期の実績を上回っている。

 下請セーフティネット債務保証と地域建設業経営強化融資は、公共工事や公共性のある民間工事を受注した元請け企業が、工事の出来高に応じて低利で資金調達できる公的融資制度。国交省は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う資金繰り悪化を防ぐため、4月に建設業団体に通知し、両制度の活用を呼び掛けていた。

 20年度上半期の融資件数は合計437件で、前年同期の実績を2.8%上回った。融資金額は112億4900万円となり、6.1%増加した。新型コロナウイルスの感染拡大による工期の遅れや信用不安で、銀行の与信枠を減らしたくない元請けが制度を活用するケースもみられたという。

 一方、下請債権保全支援事業は、国がファクタリング会社(債権買取会社)に保証料の一部を助成し、下請け企業が保有する売掛債権を保証。元請けが倒産しても下請け代金を保全し、連鎖倒産を防止する。

 20年度上半期の実績は1420件(0.8%増)、170億8100万円(9.0%増)だった。1件当たりの保証金額の平均も前年同期の1100万円から1200万円に増えているという。建設業の倒産件数は減少傾向にあるものの、新型コロナウイルスの影響によって利用実績の減少傾向に歯止めが掛かった。