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本格的な路線整備の着手を祝う 日南防災南区間で杭打ち式

            

▲写真は中心杭打ち式の模様

 国土交通省宮崎河川国道事務所と宮崎県、日南市は11月14日、国道220号日南防災(南区間・宮浦~鵜戸)の中心杭打ち式を日南市立鵜戸小中学校で行った。九州地方整備局の村山一弥局長や宮崎県の河野俊嗣知事、日南市の﨑田恭平市長をはじめ、本県選出国会議員、地元関係者らが出席し、路線の本格的な整備着手を祝った。

 国道220号日南防災は、降雨等による異常気象時通行規制や土砂災害時の通行止めで発生する沿線集落の孤立や迂回の解消を目的として整備するもの。災害時の救急活動等に機能する信頼性の高い道路ネットワークを形成する。整備中の北区間(宮崎市小内海~日南市富土)では、今年4月に伊比井潮風トンネルの供用を開始した。

 一方、今年度に新規事業化された南区間は、特に対策が急がれる宮浦遮断機付近から新鵜戸トンネルまでの2.7㎞(日南市宮浦字鳥越~松ケ迫)について、山間部を直線的に貫くバイパス(約1.7㎞)で整備する。全体事業費は約80億円で、橋梁やトンネルを整備する方針。今年度は調査設計や測量業務を推進する予定でいる。

 国道220号では、2017年10月の台風22号で日南市志戸辻地区の斜面が崩壊するなど、土砂災害等による通行止めが頻繁に発生している。日南防災北区間と南区間の整備に伴い、鶯巣地区や伊比井地区をはじめとする周辺地区の約450世帯、約900人の孤立が解消し、年平均約40時間の通行止め発生時間がゼロになる。

 事業者を代表して式典で挨拶した九州地方整備局の村山局長は、国道220号の宮崎市折生迫~日南市風田間(約32㎞)のうち、約半分の16㎞が異常気象時事前通行規制区間のままであることを説明。南区間の現地測量に着手するにあたり「地域の皆様に協力いただき、早期に用地買収に着手できるよう頑張っていく」と述べた。

 宮崎県の河野知事は、国道220号が本県観光のゴールデンルートである一方、大雨等による通行止めや斜面の崩落が発生し、地域に多大な負担がかかっていることを強調。沿線自治体や経済界、地域住民の悲願である日南防災の早期の全線開通に向けて、必要な財源確保に声を上げるなど、ともに力を合わせていく考えを示した。

 招かれた来賓を代表して、古川禎久衆議院議員、松下新平参議院議員、長峯誠参議院議員、宮崎県議会の丸山裕次郎議長が挨拶。古川議員は、当該区間が県南地域全体の「命の道」であり、国道220号と東九州自動車道の双方を整備する意義を強調した。また、松下議員は「皆さんと杭打ちができることを喜びたい」と話した。

 主賓と主催者による中心杭打ちが行われ、参加者一同は事業の本格着手を喜び、全線の早期開通へ気勢を上げた。日南市の﨑田市長は、「事業が一歩ずつ着実に前進していることは大きな喜び。皆の思いを結集し、一日も早く事業が完成することを期待している」と述べた。

■蘇陽五ヶ瀬道路、23日に中心杭打ち式

 来たる11月23日には、今年度に新規事業化された「国道218号(九州中央自動車道)蘇陽五ヶ瀬道路(五ヶ瀬区間)」の中心杭打ち式を五ヶ瀬町町民センターで開催する。国土交通省延岡河川国道事務所と宮崎県、五ヶ瀬町が主催し、来賓祝辞や中心杭打ち等を行う。新型コロナウイルス感染防止のため、一般来場者は参加できない。

 九州中央自動車道は、熊本県上益城郡嘉島町の嘉島JCTを起点とし、山都町や高千穂町を経て、延岡市の延岡JCTを終点とする高速自動車国道。現在は、嘉島JCT~矢部IC(延長23㎞)の一部区間のほか、当該路線を構成する五ヶ瀬高千穂道路(延長9.2㎞)、高千穂日之影道路(延長5.1㎞)の整備が進められている。

 蘇陽五ヶ瀬道路は、熊本県の山都町塩原を起点、本県の五ヶ瀬町三ヶ所を終点とする延長7.9㎞の2車線道路。両県の県境部に位置し、災害時にも機能する信頼性の高い高速ネットワークの形成や、走行性・安全性の向上に伴う物流効率化による産業活動の支援、観光地間の移動時間短縮に伴う観光振興の支援等を目標に掲げる。

 主要構造物として、本県側に橋梁3箇所(橋長260m、60m、220m)とトンネル2箇所(延長250m、240m)、熊本県側に橋梁2箇所(橋長230m、50m)とトンネル1箇所(延長400m)を計画し、インターチェンジ3箇所を整備する。全体事業費は約320億円。今年度は調査設計や測量業務を推進する予定でいる。