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建設職人基本法 基本計画見直しへ関係者に聞き取り

 国土交通省と厚生労働省は、建設職人基本法の基本計画見直しに向け、今週から建設業団体や有識者へのヒアリングを始める。基本計画を閣議決定した2017年以降にあった、時間外労働の上限規制(24年4月施行)、新・担い手3法の成立、フルハーネスの義務化、新型コロナウイルスの感染拡大なども踏まえ、関係者に意見を聞く。11月下旬までヒアリングを行い、年内に計画見直しに向けた論点をまとめる。

 建設職人基本法は、建設工事従事者の安全と健康の確保を国・都道府県の責務と位置付け、法制・財政・税制上の措置を求めた議員立法。

 16年12月の同法成立後、17年6月には国が講じるべき施策を定めた基本計画を閣議決定。安全衛生経費の確実な支払い、一人親方に対する労災保険の特別加入制度の加入徹底、働き方改革の推進、墜落・転落災害の防止対策の充実などを定めた。

 基本計画では、2~3年で施策の進捗状況を点検し、必要があれば計画を見直すとしており、国交省と厚労省はこの点検作業に着手する。

 基本計画決定後の3年間には、建設工事従事者の安全・健康に影響のある大きな状況変化があった。働き方改革関連法の成立に伴う時間外労働の上限規制(建設業への適用は24年4月)や有給休暇取得の義務化をはじめ、現場の安全衛生では高所作業にフルハーネスの着用が義務付けられた。

 特定技能外国人の受け入れ開始により、現場では外国人労働者に対する安全教育の重要性が増した。新・担い手3法も成立し、10月からは「著しく短い工期」での請負契約が禁止されている。

 両省はこうした変化を踏まえて建設業団体や有識者にヒアリングし、基本計画見直しを検討する。年内をめどに論点を整理する。

 同法をめぐっては、超党派の国会議員でつくる「『建設職人基本法』超党派国会議員フォローアップ推進会議」が、昨年11月に手摺り先行工法の設置義務化を含む法改正を求めたが、建設業6団体の反対を受け、改正を再検討するとされている。

 10~11月に行うヒアリングの対象は次の通り▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽住宅生産団体連合会▽全国建設労働組合総連合▽建設労務安全研究会▽労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所▽建設業労働災害防止協会▽仮設工業会▽全国仮設安全事業協同組合▽日本鳶工業連合会▽日本機械土工協会▽全日本瓦工事業連盟▽日本建築板金協会▽芝浦工業大学・蟹澤宏剛教授。