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一ツ瀬川など次期計画策定へ 管理署の検討方向まとめ

 林野庁九州森林管理局は、本県の一ツ瀬川を含む管内5つの森林計画区に関して、管理経営に関する基本的事項を定めた「地域管理経営計画」及び「国有林野施業実施計画」の次期計画を策定するにあたり、管轄する森林管理署の検討方向をまとめた。検討方向はホームページで公開し、10月15日から12月14日まで意見を募集している。

 対象は、▽遠賀川▽五島壱岐▽大分中部▽一ツ瀬川▽奄美大島―の5つの森林計画区。これらの森林計画区に関して、国有林野の管理経営に関する基本的事項を定めた「地域管理経営計画」及び「国有林野施業実施計画」の次期計画(2022年4月~27年3月)を策定するため、各森林管理署の検討方向を示した。

 一ツ瀬川森林計画の対象区域は、寒川・吹山・横野地区、横谷・白水地区、矢櫃地区、鵜懐・石河内地区、木城地区、尾鈴地区から形成される国有林野2万6636㌶。計画区内の国有林野は、九州森林管理局管内国有林野総面積の5%にあたり、天然林が42%、人工林が55%、その他が3%を占めている。

 水源かん養保安林が全体の97%を占め、生活に欠かせない良質で豊かな水の供給に係わる機能(土砂流出・干害)など重要な役割を担っているほか、登山などの森林レクリエーションや保健休養の場として利用されている。日向灘に面する海岸は、カシ類やシイ類等の天然広葉樹林、クロマツを主体とする海岸林で構成される。

 現行計画では、山地災害防止を重視する「山地災害防止タイプ」(6944㌶)、生物多様性保全機能を重視する「自然維持タイプ」(794㌶)、保健・文化機能を重視する「森林空間利用タイプ」(221㌶)、水源かん養機能を重視する「水源涵養タイプ」(1万8677㌶)に分類し、各機能に応じた管理を行っている。

 現状の課題等を踏まえた次期計画の検討では、国有林野が有する水源涵養機能や保健文化機能といった公益的機能の発揮を高めると同時に、間伐対象となる人工林の割合が現行計画と同程度(95%)であることから、健全な森林づくり、森林吸収源対策の観点から、引き続き、間伐を推進する必要があるとした。

 国産材の安定供給を実現するため、一ツ瀬川流域森林整備連絡会議等で路網の検討やコンテナ苗の研修会を実施し、高効率・低コスト作業システムや低コスト造林の導入・定着を進める。また、コンテナ苗を使用した伐採から植栽の一貫作業システムを行うことで、造林コストの削減や労務の分散化につなげる。

 自然景観に優れたレクリエーションの森については、魅力あるフィールドとして森林を整備・管理し、その活用を推進する。ふれあいの森における、国民の自主的な参加による森林整備活動等を推進するとともに、国有林を自然観察や体験学習の場として活用する「遊々の森」において、森林環境教育を積極的に推進する。

 安全・安心に暮らせる環境づくりのための治山対策では、台風で被災した山腹崩壊地の早期復旧を図るため、山腹工等により法面の安定と早期緑化を図る。上流部の山腹崩壊で発生した不安定土石の流出により、下流域の家屋や田畑、道路等に被害を及ぼさないよう、現地の状況に応じた渓間工を施工する。

 また、消波工による海岸林の浸食防止効果により、海岸林の前線部を安定させ、道路・鉄道・田畑等の保全を図る。

 このほか、社会貢献活動として森林づくりに参加・協力したいとする企業等の要請に応えるため、「分収林」制度を活用して森林整備を推進するとともに、生物多様性の保全に係る取り組みとして、森林生態系に影響を及ぼすシカ被害対策のため、関係市町村等と連携したシカ被害対策を推進する方向でいる。