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木造建物の防耐火など学ぶ みやざき木造塾がスタート

           

▲写真は講師を務めた安井氏、木造塾の模様

 宮崎県と一般社団法人宮崎県建築士事務所協会が主催し、来年1月まで4回に分けて開催する「みやざき木造塾2020」が、10月7日にスタートした。今年度の木造塾には、県内各地から建築士22人が参加。7日に行われた1回目の講義では、木造建築物の防耐火等について学んだほか、次回以降に行う試設計の内容を確認した。

 貴重な循環資源である木材を、非住宅や中高層建築物へ利用することが求められている近年の情勢を踏まえ、非住宅及び中高層建築物の木造設計スキルを身につけた技術者を養成し、宮崎県の豊富な森林資源の更なる活用を促すことを目的に開催するもの。各回ともに、意匠設計や構造設計、防耐火、木材利用の専門家が講義を行う。

 7日の講義では、桜設計集団一級建築士事務所代表で、木と木造建築の新たな可能性を探るNPO法人team Timberize副理事長の安井昇氏が、木造建築の可能性や防耐火をテーマに講演。また、有限会社建築設計群無垢(高知県)の東哲也氏が、高知県内で施工された木造建築物の事例を交えて、その特徴等を解説した。

 講義の中で安井氏は、近年の木造建築に関する技術の進歩や海外での木造建築の事例、京都市内に建てられた京町家の防火・防水のための工夫を紹介。また、CLTをはじめとする木材の加熱実験の模様を紹介しながら、木材の持つポテンシャルを強調し、「ゆっくり燃えることを長所と捉えると、木材利活用の可能性が拡がる」と述べた。

 このほか、火災被害を抑制するための内装制限や構造制限、区画措置に関連して、「出火しない木造」「急激に燃え拡がらない木造」「消せる木造」などが目標であることを説明。保育所や高齢者施設を例に、逃げることができない弱者の視点に立って、「消防が来るまで安全に待つことができるスペースを確保することも必要」と話した。

 木造塾では今後、株式会社山田憲明構造設計事務所の山田憲明代表が「構造」、国土交通省国土技術政策総合研究所の平光厚雄氏が「音環境」、岐阜県立森林文化アカデミーの辻充孝准教授が「温熱環境」について講義を行う。これらの講義と並行して、1~2階建ての保育園・こども園や3~4階建ての木造ビルの試設計に取り組む。