延岡市は、大型化する台風や線状降水帯により家屋及び事業所等の浸水被害が頻発している北川町曽立地区の浸水対策事業に取り組む。曽立谷川に新たに堤防を設置するほか、これに伴う市道付替や橋梁架替を実施。内水用排水ポンプ(2基)の設置も計画する。2019年度から調査・測量・設計に着手し、23年度の事業完了を目指している。
同市北川町に位置する一級河川五ヶ瀬川水系北川では、大型化する台風や線状降水帯等の影響により、河川の計画高水位を越える出水が頻発している。特に曽立地区では、1997年の台風19号をはじめ、近年では2016年から18まで3年連続で内水氾濫による家屋や事業所等の浸水被害が発生している。
浸水被害を受けた建物の中には病院や介護老人保健施設、郵便局等といった地域住民の生活に必要不可欠な施設が含まれており、早急なハード対策が望まれている。このため市は、宮崎県の助言を受けながら、曽立地区の浸水被害軽減に向けた対策について検討を行い、このほど浸水対策事業の基本計画を決定した。
対策工法に関する検討では、曽立谷川に新たに堤防を設置する「築堤方式」、曽立谷川の流末に排水機場を設置する「排水機場の設置」、国道10号に新たに排水路を設置する「山水の分離」の各工法について、経済性(工事費及び維持管理費)及び対策効果の視点から検証を行い、「築堤方式による整備」を最適な工法と結論付けた。
これを踏まえた整備概要として、築堤関連では▽堤防設置工L=390m(土堤L=200m、特殊堤L=190m)▽市道付替工L=160m▽橋梁架替工N=1橋▽付帯工N=1式―を計画。用地補償や家屋移転費を含む本工事費を約4億8千万円と概算する。これに加えて、内水用排水ポンプ(N=2基)の設置も計画する。
今後の事業スケジュール案によると、19年度から20年度にかけて堤防・道路・橋梁整備に係る地質調査及び詳細設計のほか、用地測量、家屋等調査、土地調査を実施する見通し。21年度から行う用地買収及び家屋等移転と並行して対策工事に着手する。対策工事は3箇年かけて行い、23年度の整備完了を目指している。
延岡市は、現段階に於ける事業概要をホームページ等で公表し、市内居住者を対象に9月17日まで事業に対する意見を募集する。提出された意見等は内容ごとに整理し、後日、意見の概要と市の考え方をホームページで公表する。意見の提出先は、延岡市都市建設部土木課または北方・北浦・北川総合支所の産業建設課。