〔一部既報〕国土交通省は、高速道路の安全性や信頼性の向上に向けた整備方針として「高速道路における安全・安心基本計画」を策定した。概ね10~15年間で有料区間にある暫定2車線区間を半減することを目標として、特に課題の大きい延長約880㌔を優先整備区間に選定。県内では、東九州自動車道の日向IC~都農IC間及び高鍋IC~宮崎西IC間(合計49㌔)のうち、対面通行区間38㌔を優先整備区間に選定した。
先行して解消すべき暫定2車線区間は、有料で供用している対面通行の暫定2車線区間約1600㌔を対象に、①時間信頼性の確保②事故防止③ネットワークの代替性確保―の3つの観点から優先的に整備する区間として約880㌔を選定。今後、財源確保の状況を踏まえながら順次事業化していく。
また、4車線化の完了までは時間がかかるため、対面通行区間の当面の緊急対策としてワイヤロープを設置する。土工部を対象に、全国で22年度内、高速道路会社の管理区間では20年度内に設置を概ね完了させたい考えでいる。
計画には、自動運転等のイノベーションへの対応も盛り込んだ。自動運転車両によるトラックの隊列走行では、隊列の形成・解除拠点として、専用の物流拠点の整備手法を検討する。合流部の安全対策や走行空間の構造・管理に関する仕様・基準も検討する。
自家用車についても、高精度3次元地図の基準点整備など、インフラ側からの走行支援の在り方を考える。20年度を目途に高速道路での自家用車自動運転(レベル3)、25年度を目途に自家用車完全自動運転(レベル4)を目標に掲げる。
事故多発地点での集中対策にも取り組む。死傷事故率が平均の2倍以上の約300箇所を対象に、凹凸のある路面標示や薄層舗装などを24年度までに施す。逆走対策では、地点ごとに民間企業から公募した新技術を活用。29年までに逆走による重大事故をゼロとするとの目標を掲げている。
さらに、災害時にもネットワーク機能を確保するため、重要インフラ緊急点検の結果を踏まえた法面対策や耐震補強を推進するとともに、休憩施設の計画的な防災機能強化にも取り組む。本格的なメンテナンス時代を迎え、更新工事等が増加していることから、集中工事の実施や新技術・新工法の導入等で工事規制の影響の最小化を図る。