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見積もり尊重宣言でモデル工事 労務賃金改善で加点

 国土交通省は、建設技能者の労務賃金改善を後押しする「『労務費見積もり尊重宣言』促進モデル工事(仮称)」を直轄工事で試行する。日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)の宣言を受け、現場に従事する技能者の労務賃金改善に取り組む入札参加者を総合評価方式と工事成績評定で評価する。一般土木のWTO対象(段階選抜方式含む)で10月から試行する。

 日建連が昨年9月に行った労務費見積もり尊重宣言は、建設技能者の賃金を全産業労働者の平均レベルに近づけるため、日建連の会員企業が1次下請けの見積書に労務費を内訳明示するよう要請し、提出された見積書を尊重するとしたもの。

 国交省は、この宣言に沿って技能者の労務賃金の改善に取り組む企業にインセンティブを与えるモデル工事を試行する。

 モデル工事で評価対象とするのは、競争参加資格確認申請書と資料提出の期限までに、個社として「労務費見積もり尊重宣言」を決定・公表した入札参加者。宣言を行った上で、下請け企業への見積もり依頼に労務賃金を内訳明示する誓約書などを提出することを求める。この二つの条件を満たした入札参加者は、技術評価で1点を加点する。

 発注者は、完成検査の段階で、元請け・下請け間の見積書を確認し、労務賃金が内訳明示されていない場合には工事成績を減点する。見積書は、1次下請けとの契約のうち、下請け金額3500万円以上の契約(警備業者との契約も含む)の中から、サンプルを抽出して確認する。

 見積書だけでなく、注文書・請書にも労務賃金が内訳明示され、契約段階でも労務賃金の改善に取り組んでいることを確認できれば、工事成績を加点する。