建設ネット企画画像 四角 四角

特定技能外国人「日本人と対等な処遇に」 JAC

B00057003_1

▲JACの才賀理事長

 特定技能外国人制度の創設に伴って設立された建設技能人材機構(JAC)は7月に新事務所に移転し、本格的に業務をスタートさせた。建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業には、JACに加入した上で外国人を適正に処遇し、就労環境を整備することが求められる。才賀清二郎理事長は「〝同一技能同一賃金の原則〟で日本人と外国人を対等に処遇することが重要。外国人を適正に処遇できなければ、日本人を呼び込むこともできない」と強調する。才賀理事長に外国人受け入れに果たすJACの役割を聞いた。

 ―設立からこれまでのJACの活動は。

 「6月20日時点で正会員は22団体、賛助会員は1団体・18社となった。7月1日に新事務所に移転し、本格的に業務を実施する環境が整った。まずは国土交通省や出向者を派遣してくれた専門工事業団体に感謝したい」
 「6月には国土交通省、JAC、専門工事業団体で日本語・技能試験の会場候補であるベトナムの大学5校を視察した。視察した5校を中心に業務提携を結び、入国希望者への教育訓練と試験を19年度中に実施する。フィリピンでも19年度中に試験を実施する。試験と教育訓練は、一部を全職種共通とすることで日本側のコストをなるべく低減したいと考えている」

 ―特定技能外国人の受け入れ後、JACはどのような役割を担うのでしょうか。

 「4月の設立総会で決議した『建設業界共通行動規範』を受け入れ企業に定着させ、各社が同じ地盤の上で仕事をする必要がある。日本の現場で就業経験のない外国人には、現場への従事前に安全衛生教育も行う。国際建設技能振興機構(FITS)に委託して巡回指導を行ったり、特定技能外国人向けに母国語ホットラインも整備する」

 ―4月の受け入れ開始以降、専門工事会社はどのように反応していますか。

 「特定技能制度が十分に周知されていないのが現状。『外国人を受け入れて大丈夫なのか』『本当に日本に来てくれるのか』といった声も聞かれるが、実際に受け入れが始まればこうした不安も解消されると思っている。正会員である専門工事業団体に説明会の開催をお願いし、JACとしてもていねいに制度の周知を図っていきたい」

 ―特定技能外国人制度は国内人材の確保が大前提。JACは国内人材の確保にどう取り組みますか。

 「この制度は、生産性向上と国内人材確保に取り組んでもなお生じる人手不足を補うという趣旨で創設された。このため『同一技能同一賃金の原則』『月給制』『技能習熟に合わせた昇給』という賃金の基準がある。これを徹底すれば、日本人・外国人を問わず、建設技能者の処遇改善につながると考えている」

 ―受け入れ企業は基準に沿った受け入れ計画について認定を受け、入国手続きに入る必要がありますね。

「特定技能外国人と受け入れ企業に義務付けられた建設キャリアアップシステムの登録は手続きが改善され、申請から登録までの期間が短縮された。JACでも、賛助会員を月1回のペースで承認し、入会手続きが受け入れの支障にならないようにしている。適正な受け入れに必要な審査はすべきだが、国交省にも企業の事情を踏まえて受け入れ計画の認定手続きのスピードアップをお願いしたい」