▲写真はセミナーの模様
株式会社竹中工務店と協力会社で組織する九州竹和会は、7月11日に県立宮崎工業高等学校の生徒を対象とした「建設業魅力発信セミナー」を同校で開催した。宮崎地区の安全衛生協力会が主体となり、建築科2年生の約40人を対象とした出前授業を開講したほか、技能体験イベントを通じて建設業の魅力をPRした。
建設業の喫緊の課題である中長期的な担い手の確保及び育成に向けて、本県では2016年度から開催しているもの。開始式で挨拶した竹中工務店九州支店の前畑達実次長は、景気の回復や東京五輪の開催に伴う昨今の人手不足について言及し、いずれの企業も多くの優秀な人材を求めていることを説明した。
一方で、建設業の旧3Kのイメージを払拭するため、現場トイレや安全設備の改良、週休2日の推進といった労働環境の改善に業界を挙げて取り組んでいることも説明。セミナーで様々な仕事を体験することで建設業を学び、「将来、一つ一つの建物を造り上げる喜びを皆さんと分かち合いたい」と期待を込めた。
出前授業を行った九州竹和会の担当者は、南極の観測用施設や東京タワー、五大ドームなど、国内外で竹中工務店が施工した建物の特徴を紹介。組織の形態についても触れ、ゼネコンと躯体・仕上・設備の各社の連携で現場が成り立っていることを説明した。
女性技術者による体験講話では、竹中工務店の西村由香里氏がBIMの概要やこれを用いた施工の見える化について、株式会社タケセンの桑畑陽子氏がタイル施工についてそれぞれ説明。入職の動機や現場でのエピソードを披露しつつ、女性視点で建設業の魅力ややりがいを紹介し、常に学び続けることの大切さを説いた。
技能体験では、足場・左官・内装・設備の4つの班に分かれて、足場の組み立てや壁面への漆喰塗り、壁ボード及びタイルの貼り付け、下地処理及び塗装、サッシ・硝子貼り、電気配線の結線、ダクト配管・塩ビ配管・冷媒配管の接続といった作業に挑戦。職人の丁寧な指導のもと、実際のものづくりを見て、触って、体験した。
施工管理の仕事を目指して学業に励む建築科の近藤奨さんは、誰もが働きやすい職場環境の構築に取り組んでいることを学んだと話すとともに、技能体験で職人の技術を目の当たりにしたことを踏まえ、「セミナーで体験したことを将来に役立てたい」と話した。
九州支店安全衛生協力会宮崎支部の佐藤世紀支部長は、「一言に建築といっても、施工管理だけでなく、躯体や仕上、設備と職種は多岐にわたる。セミナーを通じて、生徒達にそのことを知ってもらうと同時に、実際に体験することでそれぞれの職種への理解と興味を深め、将来の入職を考えてもらう機会になれば」と話した。