▲基本設計段階に於ける野口遵記念館のイメージ
既存の野口記念館の老朽化に伴い、新たな野口遵記念館の建設計画を進める延岡市は、現段階における基本設計図や施設のコンセプト、完成イメージを示した基本設計案を公開した。新施設の構造はRC造一部S造、階数は地上4階建、延床面積は約4200m2で、ホール機能や展示機能、交流機能、管理機能を設ける。2018~19年度に基本・実施設計、20~21年度に建設工事を行う予定でいる。
経年に伴う建物や設備の老朽化に伴い、抜本的な対策が急務となっている延岡市公会堂野口記念館(東本小路119-1)を現在地に建て替える計画。2022年5月の開館を目標に、現在は施設整備に係る基本設計業務が香山・小嶋・菊池・松下・コトブキ・オーツJVで進められている。財源には旭化成からの寄附金30億円を充てる。
市民に長く愛されてきた野口記念館を継承し、音楽を中心としたホールとして、また、延岡城跡を中心とした歴史文化ゾーンの象徴的施設として求められる役割を果たせる機能と特徴を持った施設を目指すことを設計コンセプトに掲げる。施設の長寿命化や環境への配慮、維持管理コストの縮減に加え、諸室の効率的な使用にも努める。
主機能とするホールの客席数は全671席。1階に508席、2階にバルコニー席84席、3階にバルコニー席79席を配置する。壁面には市産材を利用した木ルーバーを全面的に設置し、豊かな音響と温もりのある優しい印象をつくりあげる。音響拡散効果を高めるために、天井は波打つように連続する曲面形状とする。
野口遵翁顕彰ギャラリーは、来館者の目の触れやすい位置に配置し、延岡で事業展開するに至った由来や工業都市として発展していく黎明期の姿、野口遵翁の人物像を伝える。フリースペースは、イベントや市民活動、会議、特別企画展等に加え、小規模な舞台芸術公演や音楽催物など様々なジャンルの催物が可能な空間とする。
施設の地上階と最上階には、城山やシンボルロードと「見る・見られる」の関係にある外部テラスを設け、賑わいの仕掛けをつくるスペースや憩いのスペースとして活用する。敷地の南北と東西のそれぞれを貫く「とおり」には、地元の木材をふんだんに使用し、各所にたまり場を設置することで「人・もの・出来事」を引き寄せる。
かつて近傍に在った延岡城下武家屋敷街区の入り口「京口門」を象徴的に再現し、活動のショーケースとするほか、水郷延岡の美しい伝統的風景(流れ灌頂の灯篭)をホール外観のイメージとして表現する。全ての利用者が安全かつ安心して快適に施設を利用でき、サービスを等しく享受できるよう、ユニバーサルデザインにも配慮する。
市は、7月29日まで設計案に対する意見を広く市民から募り、意見を参考として基本設計を取りまとめる。意見の提出窓口は、延岡市教育委員会野口遵記念館建設室や各総合支所の市民サービス課。このほか、7月15日に市役所2階講堂で市民説明会を開催する。時間は14時から16時まで。事前の申し込みは不要。