国土交通省は、建設業法違反の指導・監督を強化するために地方整備局に設置している「建設業法令遵守推進本部」の2019年度活動方針を決定した。19年度は、これまでの大臣許可業者に対する立入検査に加え、知事許可の下請け企業などに対しても法令順守を徹底。元請けが開く安全大会などに職員を派遣し、出席する下請け企業に関係法令を周知する。通報した下請け企業に対する取引上の報復を行わないよう、立入検査時に元請け企業を指導する。
推進本部の創設以降、大臣許可の元請け業者への立入検査を通じて法令順守を促してきたが、今後は知事許可の下請け企業などにも法令順守を働き掛ける。具体的には、元請け企業が開く安全大会で、建設業法などの関係法令に関する講習を開催。元請けの支社単位で開かれる安全大会にも許可部局の職員を派遣し、法令の周知と順守を促す。
立入検査は▽過去に監督処分や行政指導を受けた企業▽相談窓口に多くの通報が寄せられる企業▽下請取引等実態調査に未回答・不適正回答の多い企業▽不正行為を繰り返し行っている恐れのある企業―などに重点的に行う。
下請け企業からの通報を端緒に元請け企業に立入検査を行う場合、通報を理由に取引停止などの報復行為を行わないように元請け企業を指導する。6月5日に成立した改正建設業法で、報復に及んだ企業に関して独占禁止法上の措置請求をできるようになっており、改正法の趣旨も含めて指導を徹底する。立入検査後に報復行為が行われていないか、取引状況をフォローすることも検討する。
改正建設業法では、下請け代金の労務費相当分を現金払いとすることも求めており、この規定の周知も図る方針だ。
■通報件数は1651件
国土交通省は、2018年度の建設業法令遵守推進本部の活動結果をまとめた。建設業法違反相談窓口「駆け込みホットライン」に寄せられた通報は1651件。通報などをきっかけに行った立入検査は734件あった。監督処分(許可取消、営業停止、指示)は26件、勧告は159件で行った。
駆け込みホットラインなどへの通報で法令違反の疑いのあった情報は66件。通報以外でも、許可・経営事項審査時に87件、下請取引等実態調査で8463件、社会保険加入対策で26件などの法令違反情報を入手した。
監督処分の内訳は、営業停止18件(独占禁止法違反12件、法人税・地方法人税法違反2件など)、指示8件。勧告159件は「下請け契約の締結」「追加・変更契約」「下請け代金の支払い」など、下請け契約関連のものが多かった。