宮崎県は、国の2020年度施策及び予算に対する提案・要望事項をまとめ、5月29日から30日にかけて関係省庁等に対して提案・要望活動を行った。人口減少問題への対応強化や防災・減災対策及び国土強靱化の推進、力強い攻めの農水産業の実現に向けた支援、家畜防疫対策の強化などを20年度の施策及び予算に反映するよう求めた。
20年度の国の施策及び予算に対する提案・要望事項は26項目(前年度24項目)。人口減少問題への対応強化や地方税財源の確保・充実を総論と位置付け、▽未来を担う人財の育成・確保▽関係人口の創出と観光・交流の拡大▽安全・安心な暮らしの確保▽力強い産業づくりと交通・物流基盤の充実―の4項目に対応する要望を整理した。
産業人財の育成・確保に向けた取り組みでは、県内企業における若者の安定的な雇用の確保等が大きな課題であることを踏まえ、若者の県内定着や誰もが働きやすい職場づくりに向けた助成制度等の拡充、UIJターン就職の促進に向けた支援策の拡充、地方の実情に応じた外国人材の円滑な受入支援の充実・強化を図ることを求めた。
18年度から始まった「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」を推進するため、国や県が行う対策に必要な予算の総額確保を図るとともに、本県へ重点配分することを要望。あわせて、緊急対策完了後も継続して県土の強靱化対策を推進するため、臨時・特別の措置に替わる新たな財政措置の仕組みづくりを図ることを求めた。
また、南海トラフ地震・津波対策として、特別措置法の補助嵩上げ措置や河川・海岸施設等の整備に係る十分な予算の確保、緊急防災・減災事業債の恒久化や制度拡充に必要となる財政措置を要望。火山活動や台風といった自然災害による農業被害への支援のほか、硫黄山噴火による河川白濁対策(水質改善・沈殿物処理)への支援も求めた。
一方で、生産性向上や地域活性化に繋がる高速交通ネットワークの整備として、東九州道や九州中央道、都城志布志道路の早期整備、高速道路の四車線化等の機能強化、国道10号住吉道路の早期事業化、新富スマートIC(仮称)の準備段階調査の採択等に加え、地域産業の競争力強化と地域活性化につながる港湾整備の推進を求めた。
このほか、産地パワーアップ事業や水産業競争力強化緊急事業等の継続及び十分な予算の確保を図り、力強い攻めの農水産業の実現に向けた支援を行うとともに、必要な農業農村整備事業が計画的に実施できる予算の確保、森林整備や林業・木材産業の競争力強化、林業就業者の確保・育成等を図るための予算確保と重点配分を求めた。
20年東京オリパラを契機とする地域活性化の取り組みでは、屋外型ナショナルトレーニングセンターの県内整備や本県が誇る食材や木材の活用と大会後の発信などを要望。また、インバウンド需要の拡大に向けた取り組みとして、地域の実情に合わせた受入環境を整備できるよう、自由度の高い交付金化や補助率の引き上げ等を求めた。