▲写真は会合の模様
自民党の国土交通部会は5月10日、公共工事の発注者に災害対応の強化や受注者の働き方改革への対応を新たに求める品確法改正案を了承した。同法第7条の「発注者等の責務」に災害復旧工事での随意契約・指名競争入札の採用や建設業団体との災害協定の締結などを追加。働き方改革に対応するため、債務負担行為・繰越明許費を活用した適正な工期設定によって施工時期を平準化する責務も課す。改正法案成立後には、同法の運用指針も改正し、改正法の理念を現場に浸透させる。
議員立法の改正法案は、「公共工事品質確保に関する議員連盟」が立案。14日に公明党の国土交通部会で了承を受けた上で、21日にも自民党の党内手続きを終える。野党との調整が済めば国会に提出し、政府提出の建設業法・入札契約適正化法改正案と『新担い手3法』として一体で審議する。
改正法案の柱は▽災害時の緊急対応▽働き方改革▽生産性向上▽調査・設計の品質確保―など。
頻発する大規模な自然災害に対応するため、災害時の緊急対応を充実・強化する。随意契約・指名競争入札で入札手続きの期間を短縮し、災害復旧を迅速化する。建設業団体と災害時の緊急対応や復旧工事に関する災害協定を結ぶ責務を課す。発注者が災害復旧の労災補償に必要な保険料を適正に支払うことも求める。
休日・準備期間・天候に配慮した適正な工期を設定し、公共工事に従事する技術者・技能者の働き方改革を後押しする。複数年度にわたる工期を設定できるよう、債務負担行為・繰越明許費などの必要な措置を講じる他、繰越明許費を活用して年度をまたぐ設計変更も求める。
公共工事の元請けに対しても、下請けの技術者・技能者の賃金や労働環境に配慮し、適正な額の請負契約と工期で下請け契約を結ぶ責務を課す。
公共工事の受注者・発注者に対し、ICT技術を活用した生産性向上を要請。発注者には監督・検査・施工状況の確認・評価にICT技術の活用を求める。現行法で「工事に準ずる」としていた調査(測量、地質調査、点検・診断)と設計は、法対象であることを明確にする。