建設コンサルタント会社の2019年度入社式での社長訓示(あいさつ)は、いまの国内外の社会・経済環境を色濃く映し出した内容となった。何といっても目だったキーワードは4月1日に施行され、建設コンサルタントの大企業も法が適用される「働き方改革」。これに「女性の活躍」「激甚化する災害への対応力」「デジタル化」「グローバル化」―などのキーワードも加わり、絶え間ない環境変化によって生まれるニーズに対し、建設コンサルタントが果たすべき役割とビジネスとしての可能性を説くとともに、社会人としての成長を促し、期待するものが目立った。
パシフィックコンサルタンツの重永智之代表取締役社長は、「ここ5年間の新入社員の合計は289人で、このうち女性が約35%を占めている。1989(平成元)年の新入社員全体に占める女性社員の割合の倍になった。89年には一人もいなかった外国籍の社員もここ5年の間に毎年2~4人入社している」と紹介。その上で、「単に女性や外国人を増やそうというのではなく、多様な社会に対応するためには、多様な人材が必要ということの表れだ」と強調した。
さらに、「世の中は常に変動し、不安定で、不確実・複雑・あいまいになってきている。グローバル化とデジタル化の急速な進展によって明日何が起こるかわからない時代に突入している」と指摘し、「予測がつかない社会状況の中でも、常に時代の一歩先を歩み続けることが我々の使命だ」と話し、新入社員に対し、「常に世の中の変化を自分で感じ、何をやるべきかを自分で考え、実行する『自律型社員』を目指してほしい」と語りかけた。
長大の永冶泰司代表取締役社長は、4月1日に施行された働き方改革関連法について触れ、「わが社は5年前から働き方改革について検討し、今の諸制度を作ってきたが、長時間労働を解消するには生産効率の向上が不可欠」と指摘。
その上で、「『めんどくさい』『時間がかかる』ということに対し、常に改善、改良の意識を持つことが重要だ」と述べ、「改善、改革は一度にはできない。少しずつでもよいから進めていくことが必要だ。いろいろな提案を積極的にしてほしい」などと呼び掛け、平成最後の、新元号元年の年に入社した社員の士気を鼓舞した。