経済産業省と総務省、厚生労働省は、老朽化した石油コンビナートの点検などプラント施設の保安分野でドローンの安全な活用を促進するためガイドラインを作成した。ドローンを安全に活用するための留意事項を「通常運転時」と、メンテナンスなどの「設備開放時」「災害時」の3パターンに分けて示した。
プラント保安分野においても道路構造物などと同様に、施設の老朽化や、点検を担う人材の不足が大きな課題となっている。そんな中でドローンは、高所での点検や、災害時の緊急的な点検などで活用が期待されている。国内のプラント保有企業へのアンケートでは、回答のあった41社86事業所のうち16社27事業所でドローンの活用実績があった。
一方で、ドローンの防爆エリアへの進入や、設備への落下は大きな事故につながる恐れがあり、経産省など3省は、安全な利活用策の検討を進めてきた。
ガイドラインでは、通常運転時について、飛行エリアごとに事前のリスクアセスメント(評価)が必要なことを明記。特に海岸沿いのプラントでは地形の条件による風の影響などに留意すべきだとした。その上で、リスクに応じた対策例も示した。
ガイドラインの作成に際し、経産省など3省は神奈川県と連携し、JXTGエネルギー根岸製油所(横浜市磯子区)で保安点検の実証実験を実施。原油タンクの浮き屋根を上空から撮影した結果を活用事例としてまとめた。ガイドラインと事例集は3省の共同運営サイトで公表している。