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地盤DB、3次元情報活用でも貢献 国土地盤情報センター

 国土地盤情報データベースを運営する一般財団法人国土地盤情報センター(岩崎公俊理事長)が2018年8月1日に地盤情報の検定業務を開始してから19年3月末までの間に行った総検定件数が517件、総検定本数が4431本となった。国交・農水両省とも「地盤情報の収集と利活用に関する協定書」を締結。北海道など16の地方自治体と傘下の市町村、札幌市をはじめとした4つの政令指定都市とも協定を交わしている。

 19年度はWEB-GISによる情報提供機能を開発・供用する一方、CIMやi-Constructionでの地盤情報の活用を促進するため3次元地盤情報モデリング技術の深化を図り、3次元フリーソフトを開発・提供したい考え。同センターは4月19日、創立1周年記念祝賀会を東京都内で開き、設立からこれまでの間の実績を報告するとともに、19年度の事業計画や今後の事業展開などについて説明する。

 地盤情報の利活用を巡る状況をみてみると、福岡市の地下鉄七隈線延伸工事現場で16年11月8日に発生した道路陥没事故を契機として、それまで以上に適切な地質調査を実施し、地質リスクを評価することの重要性を認識する発注機関が増加した。

 特に社会資本整備審議会・交通政策審議会から国土交通相への答申「地下空間の利活用に関する安全技術の確立について」(17年9月)で地盤情報の有効性と利活用の必要性について提言されて以降、同省の「今後の発注者のあり方に関する基本問題検討部会」などでも一貫して地盤情報の有効活用の必要性が建議され、このことが同センターの設立につながっている。

 国交省の電子納品要領に基づくボーリング柱状図と土質試験結果一覧表の検定業務を18年8月1日に開始していた同センターは、同年9月3日にボーリング柱状図と土質試験結果の公開を開始。地盤DB構築と利活用を目的とするセンター機能を本格的に稼働させていたが、同年9月8日には北海道胆振東部地震の発生を受けて、復旧・復興支援のためのボーリング柱状図緊急公開サイトを開設するなど、防災・減災の面でも貢献。地盤情報の有効性と重要性を実証している。

 一方、国交省は地質・土質調査業務共通仕様書(案)を18年3月20日付けで改定し、第118条に「受注者は機械ボーリングで得られたボーリング柱状図、土質試験結果一覧表の成果について、別途定める検定に関する技術を有する第三者機関による検定を受けたうえで、発注者に提出するとともに、発注者が指定する地盤情報データベースに登録しなければならない」と追記している。

 また、18年3月27日には土木工事共通仕様書(案)も改定し、第1章総則3-1-9工事完成図書の納品の地質調査の電子成果品に「受注者は、設計図書において地質調査の実施が明示された場合、『地質・土質調査成果電子納品要領』に基づいて電子成果品を作成しなければならない」と追記するなど、地盤データベースの構築とデータの利活用を推進する姿勢を明確にしている。