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レジリエンスの視点から労災防止を検討 建災防

 建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は4月17日、2019年度の「建設業におけるメンタルヘルス対策のあり方に関する検討会(委員長、櫻井治彦・慶応義塾大学医学部名誉教授)」の第1回委員会を東京都内で開き、労働災害防止に資するメンタルヘルス対策の高度化について議論を開始した。

 19年度は建設現場におけるヒヤリハットの実態調査を実施。調査結果などを踏まえつつ、レジリエンス・エンジニアリングの視点からVRなどのICTを活用した新たな安全教育の有効性などについても検討する。調査結果や議論の成果は20年3月をめどに報告書にまとめる一方、建設現場で発生したヒヤリハットを労働災害の防止と安全衛生水準の向上につなげるための情報共有ツールと、ICTを活用したレジリエンス・エンジニアリングの安全教育ツールを開発する。

 建災防が18年度に実施した「建設現場における不安全行動・ヒヤリハット体験に関する実態調査」の調査結果からは、「ストレス反応が高い人」と「不眠症状がある人」は、そうではない人と比較して、「自分に原因があるヒヤリハット」を体験するリスクが1.2~2.0倍程度高いことが判明している。

 また、過去1年間に労働災害につながりかねないヒヤリハットを体験した人の割合が58.2%にも上っている。

 このため委員会は、19年度はヒヤリハットが「労働災害の疑似体験」という負の側面ではなく、「労働災害に至る前にリカバリーした成功事例」という正の側面に着目し、5月にも行う予定のヒヤリハットの実態調査の結果なども参考にしながら、労働災害にならず、ヒヤリハットにとどまった理由と背景を考察。リカバリーを可能にする個人の人間力と組織の現場力が何かを明らかにする。

 「変化する状況に柔軟に対応して安全な状態を保つ」ための方法論とされているレジリエンス・エンジニアリングの導入と、安全教育へのICTの活用については、建災防がIoTやAI、ロボットなど日進月歩で進化するICTの労働災害防止対策での活用について検討している委員会でも並行して検討。VRなどを活用した安全教育ツールの開発につなげる。