経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の中で、太陽光発電設備の将来的な廃棄を見据えた費用を確実に積み立てるための制度を検討する。4月11日に学識経験者らで構成する「太陽光発電設備の廃棄等費用の確保に関するワーキンググループ」の初回の会合を開き、制度設計に向けた議論を開始した。
太陽光発電事業は、FITの開始後に急速に拡大した。一方で、太陽光発電パネルには鉛やセレンといった有害物質が含まれていることがあり、発電事業の終了後の適切な廃棄体制の確保が課題となっていた。FITの電力調達価格には廃棄費用が計上されており、2018年4月からは廃棄費用の積み立てを、それまでの努力義務から明確な「義務」へと見直していた。それでも、19年1月時点で積み立てを行っていない事業者は高圧(50㌔ワット以上)の84%を占めており、より実効的に積み立てを担保できる制度設計を行うことにした。
新制度の方向性としては、原則として源泉徴収のような形で外部機関が積み立てを行う形を想定。長期安定的な発電の責任・能力を担い得ると認められる事業者に対しては、内部積み立てを認めるための条件などを検討する。
出力10㌔ワット未満の小規模な案件については、家屋解体時に適切に廃棄されると想定されており、積み立て義務からは除外する。
ワーキンググループの中で、積立金額や積み立て回数、時期などについて適切な水準を精査していく。今後は事業者や金融機関、解体・リサイクル事業者、地方公共団体などへのヒアリングなども予定している。