国土交通省は、2018年度に「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に選ばれた33件の評価結果を公表した。目標の達成度、技術の汎用(はんよう)性・導入効果を指標として、各プロジェクトをA~Dの4段階で評価。約半数の15件を最高のA評価とした。同省は、19年度の対象プロジェクトも近く公募する考えだ。
このプロジェクトは、官民の研究開発投資の拡大を目指して内閣府が創設した「官民研究開発投資拡大ブログラム(PRISM)」の配分を受けて実施したもの。
直轄工事や自治体の工事の受注者が、IoT(インターネット・オブ・シングス)や人工知能(AI)の関連企業とコンソーシアムをつくり、土木工事の労働生産性を高める技術やデータを活用して品質管理を高度化する技術を現場で試行した。試行の経費はコンソーシアムと最大5000万円の契約を結び、国交省が負担した。
国交省は、18年度末までの試行の結果を受け、全33プロジェクトの評価を公表。これによると、A評価は15件、B評価は12件、C評価は6件で、D評価を受けたプロジェクトはなかった。
A評価を受けたプロジェクトのうち、例えば竹腰永井建設(石川県)などが参加するコンソーシアムでは、法面対策工事の出来高管理に3次元データを活用し、省力化や書類の簡素化を実現。愛亀(愛媛県)などのコンソーシアムは、受発注者間のコミュニケーションツールとしてウエアラブルカメラやタブレットを活用し、道路維持工事の手待ち時間の削減などを図ったという。
国交省は、19年度の対象プロジェクトを近く公募する。今回の評価結果も参考に、新たに異業種コンソーシアムの応募を募る。18年度の試行で得られたデータは、今後のAI開発などに活用することも検討する。