国内最大規模の水道事業体である東京都水道局と横浜市水道局、大阪市水道局が「水道ICT情報連絡会」を立ち上げ、3月27日に都庁内で各水道局長が運営要綱の承認・確認書に署名するとともに、事業体が抱える課題や求められているニーズの共同発信、民間企業などが保有する新技術の募集を開始した。
東京都の中嶋正宏局長は「水道事業をめぐっては、人口(需要)減少や増大する施設老朽化への対応、職員の技術継承など課題が山積している。ICTはこうした課題解決に不可欠なものだ」と情報連絡会設立の趣旨を説明。今後の運営に当たり「実務的な協議を重ねながら、関係する業界や学会の協力を得て課題解決につながる技術や情報を広く発信していきたい」との考えを示した。
横浜市の山隈隆弘局長は「水道事業へのICT活用はまだまだ不十分だ。例えばAI(人工知能)などで膨大なデータ処理を行い、信頼性の高い水需要予測ができれば、効率的な事業運営につながる」と具体例を示した上で、「連絡会での情報発信を通じて実効性のある技術提案をいただき、全国の事業体の課題解決の一助としたい」と述べた。
大阪市の河谷幸生局長は「市全体でICT戦略への取り組みを始めており、水道局でも計画を策定・推進している。ICTへの理解を深め、費用対効果といった“近視眼的”なことだけでなく、将来を見据えた人材育成や技術継承など幅広い分野で効果を生み出すべき」と語り、3事業体の連携によりさらに効果を高めることが可能だとの見方を示した。