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市営住宅建替PFI、来年度に事業者選定へ 宮崎市

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▲写真は説明会の模様

 公営住宅の建替事業に県内で初めてPFI方式を導入する宮崎市は、2月5日に宮崎市民プラザで事業者を対象とした説明会を開催した。PFI方式による「宮崎市営住宅新町・追手団地建替事業」の概要等を担当者が説明し、参加した民間事業者が熱心に耳を傾けた。要求水準や選定基準等を盛り込んだPFI法に基づく実施方針を4月に公表し、来年度に事業者の選定を行う予定でいる。

 佐土原町西地区の市営住宅のうち、更新時期を迎えた6団地を集約統合する「宮崎市営住宅新町・追手団地建替事業」にPFI手法を採用するにあたり、事業概要等を広く周知するために開催したもの。説明会には、建設業者や建設関連業者、不動産業者等から約100人の参加申し込みがあり、事業に対する関心の高さをうかがわせた。

 説明会で挨拶に立った宮崎市建設部の長友浩一部長は、当該事業にPFI手法を採用する最大の目的に「行政事務の効率化」と「民間の資金・経営能力・技術的能力を活かした効率的かつ効果的な施設の整備を通じて、入居者に良質なサービスを提供すること」をあげたうえで、募集に際しての積極的な提案を事業者に求めた。

 当該事業の建替対象団地は、▽新町団地▽追手団地の一部▽宝塔山団地▽今坂団地▽都甲路団地▽那珂団地―の6団地。建設場所は新町団地及び追手団地の敷地内で、事業対象外とする追手団地の中耐住棟を除く現管理戸数は計176戸だが、人口減少や高齢化に伴う公営住宅の需要減を見据え、整備戸数は約100戸とする。

 PFIアドバイザリー業務を受託しているランドブレインが示した基本計画図のたたき台では、鉄筋コンクリート造4~5階建の団地3棟を新町団地敷地に整備することを想定。このほか、集会所や公園の整備、近接する国道219号及び県道44号へのアクセス道路の整備、浸水対策としての水路の拡幅等を行う予定でいる。

 当該事業では、これらの施設整備に係る設計や工事に加え、入居者移転支援業務、国費及び交付金等申請関係書類等の作成支援業務、会計実地検査の支援等も行う。施設の整備に際して生じる余剰地に関しては、活用提案の有無を事業者の判断に任せるが、提案があった場合には事業者選定時に加点評価することを想定する。

 事業のスキームは、民間事業者が施設等を建設し、管理者等の所有権を移転するBT方式(Build Transfer)を採用する方針。建設業者や設計業者、移転支援業者等で構成する事業者グループが宮崎市と事業契約を締結し、事業者グループが提供するサービス(設計・建設)の対価を宮崎市が支払う。

 事業者選定のスケジュール案によると、業務要求水準や事業者選定基準を盛り込んだPFI法に基づく実施方針を4月に公表する予定。PFIを採用する特定事業として正式に決定すれば、6月頃から入札手続きを開始し、12月頃に事業の受託候補者を特定する。その後、契約に向けた協議を進め、来年3月に本契約を締結する。

 説明会では、これらの事業概要や留意点について担当者が説明を行ったほか、公営住宅整備に於けるPFI事業の特徴や他県自治体での整備事例を紹介。特殊な建築物ではない公営住宅のPFIは地元企業も取り組みやすく、その中で提案力やコーディネート力を育てることが、結果として地元企業の育成につながるなどと話した。

 宮崎市が平成30年3月にまとめた、当該事業に係るPFI等導入可能性調査業務(概要版)はホームページで確認できる。今回の事業者説明会の配布資料もホームページに掲載する予定。