※写真はドローン搭載専用LiDARシステムTDOT(提供:アミューズワンセルフ)
国土交通省は、「革新的河川管理プロジェクト」の一環で2016年度から進めてきた「陸上・水中レーザードローン」の開発が完了したことを明らかにした。川底の3次元計測に必要なグリーンレーザーによる計測システムを大幅に小型化し、ドローンに搭載できるようにした。開発チームは▽アミューズワンセルフ、パスコ▽河川情報センター、朝日航洋、アジア航測、ルーチェサーチ―の2グループ。2019年度から各地方整備局に実装し、3次元計測による河川の面的な管理を実現する。
河川で3次元データを取得する際、従来は航空レーザー測量が必要だった。今回開発した技術により、堤防の形状や水中の土砂の堆積状況、繁茂している樹木の位置・量を効率的に把握できるようになる。また、継続的にレーザー計測を行うことで、地形の変化の面的・定量的な管理が可能になるため、河川の維持管理の高度化・高精度化にもつながる。
こうしたドローンを各地方整備局に配備することで、洪水などの水害時には、被災箇所を対象とした3次元計測を迅速に実施できるようにする。
同省は実装に向け、2グループが開発した機器の特性をそれぞれ公表。それによると、マルチコプター型のドローンにグリーンレーザースキャナを搭載し、水中測量を可能にするなど、開発当初に求めた技術仕様は両グループともおおむね満たした。ただし、水中部の測量について、アミューズワンセルフらのグループは面的な計測を可能とした一方、河川情報センターらのグループは線形計測となっている。
各地方整備局はこうした仕様に基づき、購入する機器を選定する。地方公共団体など他の河川管理者に対しても情報を公開し、活用を促していく。
革新的河川管理プロジェクトは、民間企業間の連携を促して現場ニーズに基づく技術開発を促進する、同省主導のオープンイノベーションの取り組み。「陸上・水中レーザードローン」の他にも、低コストな危機管理型水位計を既に開発しており、地方公共団体などで急速に配備が進んでいる。