宮崎市は、「みやざき水ビジョン2020」の素案をまとめ、ホームページで公開した。上下水道事業を将来にわたり安定的に持続するため、基本理念に「みやざきを支え、信頼を未来へつなぐ上下水道」を掲げ、目指すべき将来像やこれを達成するための実施方策などを示す。計画期間は2020年度から29年度までの10年間。
水ビジョンは、上位計画の「第五次宮崎市総合計画」や「宮崎市都市計画マスタープラン」とも連携しつつ、厚生労働省が示した「新水道ビジョン」、国土交通省が示した「新下水道ビジョン」の考え方を踏まえ、学識経験者や各種団体の代表らで構成する審議会を経て策定し、市の上下水道事業の根幹を成す計画として位置付ける。
人口減少や節水機器普及に伴う水需要の減、適正な水質及び処理水の管理、鉛給水管の解消、老朽施設・管路等の更新及び耐震化、施設の浸入水・耐津波対策といった現状の課題を踏まえ、素案では新たな基本理念を設定。安全・強靱・持続の観点から5つの将来像を定め、これを達成するための実施方策や取組内容、成果指標を示した。
将来像のうち「安全で強靭なライフラインの構築(上水道)」では、水安全計画に基づく水質管理や効率的な施設整備、漏水対策、鉛給水管解消などに取り組む。計画最終年度の目標値を、浄水施設の主要構造物耐震化率69%(現状29%)、基幹管路の耐震化率48%(同41%)、鉛給水管の解消率81%(同54%)などと設定する。
主な事業として、下北方浄水場大規模改修事業や柏田水源地更新事業、下北方配水池整備事業、経年管更新事業、生目台送水管更新事業、富吉浄水場更新事業、幹線管路耐震化事業、鉛給水管取替事業などを計画する。
また、「快適で良好な生活環境の整備(下水道)」では、ストックマネジメント手法による老朽化対策や雨水浸入水対策、施設・管渠等の耐震化、浸水被害軽減対策などに取り組む。計画最終年度の目標値を、重要路線内の要改善老朽下水道管渠改善率100%(現状38%)、重要施設の耐震化率94%(同33%)などと設定する。
主な事業として、公共下水道改築事業や大淀処理場焼却炉代替施設整備事業、耐震・耐津波化事業、浸水対策事業などを計画する。
一方、「自然環境に配慮したエネルギー対策と資源の有効利用」では、再生可能エネルギーの活用や汚泥の肥料化、汚水処理水の適正な水質管理などを実施。「危機管理対策と持続可能な経営基盤の確立」では、被災時の機能低下の抑制や速やかな復旧に向けて、BCP等による危機管理対策や技術の継承、効率的な事業経営に取り組む。
素案は宮崎市のホームページや市民情報センター、宮崎市上下水道局財務課などで公開し、市内居住者などを対象に20年1月16日まで意見を募集する。