国土交通省は、現場条件が厳しい工事のインセンティブを高める「難工事指定」を全国の直轄工事で試行することを検討している。難工事指定は、維持修繕工事など応札者の少ない工事に対する受注意欲を高めるため、関東地方整備局が2008年から試行。難工事の受注者は、完成後の1年間に参加する入札で総合評価方式における加点評価を受ける。入札不調・不落の防止に向け、他の地整への展開を検討する。
関東地整は、WTO対象以外の全工事を難工事指定の対象としており、2018年度に発注した973件のうち、341件を難工事に指定している。中でも、一般土木と比べて応札者が少なく、1者応札も発生する維持修繕では、全225件中163件と適用の割合が高い。
指定する工事の条件は、構造物を供用させながらの施工が必要な工事の他、▽現場条件が狭隘(きょうあい)▽搬入路確保が困難▽地盤が悪い▽綿密な関係者協議が必要▽現場が点在―といった工事。こうした工事は、応札者が集まらない〝不人気工事〟になることが多く、インセンティブを高めて受注意欲を高める。
具体的には、難工事指定の工事を受注し、工事成績評定が70点以上の評価を受けると、その後1年間に参加する入札で、「難工事施工実績」として総合評価の加点措置を与える。技術力評価で、企業として1点、配置技術者で1点の加点を与えるため、難工事に指定された工事の受注者は、最大2点の加点評価を受けることができる。加点対象の工種は問わず、例えば難工事指定を受けた維持修繕工事の受注者が、一般土木の総合評価で加点評価を受けることもできる。