小林市は、2019年度から28年度までの10年間を計画期間とする「新水道事業ビジョン」(経営戦略)を策定した。持続・安全・強靭の視点から3つの基本目標を定め、これらの目標実現に向けた組織力及び経営力の強化、良質な水源整備の実施、水道事業施設の計画的な更新、基幹施設及び管路の耐震化などに取り組む。
08年度に策定した小林市水道ビジョンの計画期間が満了することに加え、国の新水道ビジョンとの整合を図る必要があることから、新たな計画を策定する。水道事業が目指す将来像や目標、実現方策を示す「新水道事業ビジョン」と「経営戦略(投資・財政計画)」を統合し、今後10年間の中長期的な経営の基本計画と位置付ける。
ビジョンでは、水道事業の概要や現況・課題、将来の事業環境を整理した上で、「みらいへつなごう!小林のきれいでおいしい水」を将来像に掲げた。持続・安全・強靭の視点から、「健全な経営で市民が誇れる水道」「安心して飲める水道」「どんなときでも使える水道」を基本目標に設定し、これを実現するための具体的な施策を示す。
持続性に関しては、人材育成を念頭に置いた人事サイクルや料金体系の最適化に向けた検討方法・検討体制の構築、民間への業務委託の検討等を通じて、組織力及び経営力の強化を図りつつ、近隣水道事業体との発展的広域化に向けた検討を行う。省エネ機器の導入や再生可能エネルギーの活用を検討するなどして、環境対策も推進する。
また、安全性に関しては、良質な水質の水源整備の実施・検討や関係機関と連携した水源環境の維持保全、水安全計画に基づく水質管理の徹底と公表、クリプトスポリジウム等対策のための浄水処理設備の整備、貯水槽水道等の衛生指導の実施と直結給水の推進、指定給水装置工事事業者に対する指導などに取り組む。
一方、強靭性に関しては、アセットマネジメントに基づく水道事業施設の更新計画の策定や計画的な更新の実施、施設の延命化や長寿命化、施設統廃合による配水区の再編化、施設規模の適正化と予備力の確保、基幹施設及び管路の耐震化、重要給水施設への給水の確保、バックアップ機能・ストック機能の強化などを図る。
目標実現に向けた施設整備を進める上で、優先的に実施する重点事業を設定。重点事業に▽大王地区水源転換統合事業▽境別府地区水源・送水施設整備事業▽配水区再編検討事業▽緊急遮断弁設置事業▽出の山水源の取水塔耐震化及びクリプトスポリジウム等対策事業▽平ノ前第2配水池整備事業▽非常用発電設備設置事業―などを挙げる。