宮崎県は、県内水道に於ける今後10年間に於ける具体的な実現方策や目標を定めた「宮崎県水道ビジョン」の素案をまとめ、12月5日に開かれた宮崎県議会の厚生常任委員会で報告した。計画最終年度に於ける耐震化計画や業務継続計画の策定率、アセットマネジメント手法の導入率を100%とすることを目標に掲げる。
将来を見据えた水道の理想像や取り組みの方向性、その実現方法を示した国の水道ビジョンでは、都道府県水道行政の立場から将来の地域における水道のあり方を設定するため、都道府県自らがビジョンを策定することを求めている。これを踏まえ、2020年度からの計画を盛り込んだ「宮崎県水道ビジョン」を策定する。
県がまとめたビジョンの素案では、策定趣旨や県内水道事業の概況を説明。水道事業の効率的な運営や人材育成を推進するためには、従来の行政区域を超えた広域的な視点が重要であることから、自然条件や社会的・経済的条件を考慮し、中部・県北・県西の3つの圏域を設定し、圏域単位で施策に取り組むことなどを求める。
水需要の見通しや現状分析・評価を踏まえ、水道事業で取り組むべき課題を3つの視点で整理。「安全」の視点では水質管理の徹底や小規模自家用水道対策を、「強靱」の視点では適切な資産管理や水道施設の耐震化、施設規模の適正化、危機管理対策の強化を、「持続」の視点では経営の健全化や発展的広域化などを課題に挙げた。
基本理念の実現に向けて、課題解消のための施策を体系的にまとめ、一部で数値目標を設定する。中間年の24年度までに、水安全計画の策定率を70%(現状33%)、アセットマネジメント手法の導入率を100%(同52%)、耐震化計画の策定率を70%(同26%)、業務継続計画の策定率を70%(同33%)とすることを目指す。
宮崎県は近く素案に対するパブリックコメントを実施し、寄せられた意見をビジョンに反映させる。20年2月に策定委員会を開催し、県議会への報告を経て、同年3月にビジョンを策定する。