延岡市は、地域新電力会社「延岡電力(仮称)」の事業化可能性調査を踏まえた検討結果を公表した。地域における電気料金の引き下げと利益を寄付することによる市の財源確保を設立の主な目的に掲げ、「2020年度中の設立に向けた検討を行いたい」との考えを示した。市内居住者を対象に20年1月9日まで意見を募集する。
地域電力会社の設立を検討するため、市は今年6月に事業化可能性調査を調査会社に委託。地域新電力に関する国の政策動向や業界動向、地域特性等の事業環境、事業シナリオの想定と事業性評価、電源調達方針、利益の地域への還元方法、運営体制等に関する報告書を同社から受け取り、これを踏まえた検討結果をまとめた。
この中で、市民及び市内事業者の電気料金を安くするためのプランを設けることを事業の基本方針に挙げた。主な顧客は、一般家庭や低圧の店舗及び事業所、市の公共施設。延岡市清掃工場の廃棄物発電や市内の再生可能エネルギー(卒FIT電源)を電源に使用し、実際の事業運営の中で適切な電源構成を検討する。
収益を確保するため、地元の企業や自治会などに代理店を依頼して顧客の確保を図るとともに、社員体制を必要最小限にするなどして経費節減に努める。収益は、事業運営上の必要性から会社に留保する分を除いて、全て市に還元する。確実に利益を市に還元するため、出資構成に関しては市の単独出資も選択肢の一つとする。
事業収支シミュレーションによると、家庭向けや事業所・店舗向けの電気料金を大手電力会社よりも引き下げた場合、手続き関連費用や固定費が発生する一方で事業収入が得られない設立年は単年度赤字だが、供給1年目には売上の3%程度の営業利益が確保でき、供給開始3年目以降に市への寄付が可能になる見通しだという。
地域新電力会社の設立に伴い、地域外に流出している電気代を地域内で循環させることによる経済効果や、再生可能エネルギーの活用が進む国際社会に於いて企業に選ばれる地域づくりの推進といった効果も期待する。市は、議会での議論やパブリックコメントで寄せられた意見を踏まえ、20年度の会社設立を目指す考えでいる。