宮崎県環境森林部は、同部が所管する建設工事の不調・不落を縮減するため、12月2日から新たな対策に取り組む。既に実施している「治山事業に於ける山林砂防工の適用」や「間接工事費の地域補正」に加え、支障木伐採等費用の積算方式を見直すほか、山林砂防工の適用範囲をこれまで適用外としていた法面工事まで拡大する。
環境森林部が所管する建設工事の不調・不落発生件数は増加傾向にあり、19年度は上半期だけで27件(発生率37.5%)が発生している。前年同期と比べて14件増え、県土整備部(70件/発生率11.4%)や農政水産部(28件/発生率18.3%)と比較して、不調・不落の発生率は公共三部の中で突出して高い状況にある。
不調・不落の発生件数は、業種別では土木一式(19/52件)やとび・土工(6/14件)が多く、価格別では3000~7000万円(10/32件)、1500~3000万円(8/18件)、7000万円以上(7/13件)の順に多い。内容別では、治山・渓間工事(12/31件)や林道工事(10/26件)で多く発生している。
要因として同部では、国土強靱化等に伴う公共事業予算の増加に伴い、建設業者が多くの手持ち工事を抱え、人員的に余裕がなくなっていることや、県内の建設業許可業者数及び就業者数が減少し、技術者及び作業員の確保が困難になっていること、地形が急峻で山間部に位置するなど条件の厳しい現場が多いことなどを挙げる。
環境森林部では、増加傾向にある不調・不落を縮減するための独自対策として、2015年4月から山間奥地の厳しい条件下で行う業務に関して、労務単価の高い山林砂防工を適用。また、山間僻地に該当する市町村内で、最寄りの役場から陸路で10㎞以上離れている地区について、共通仮設費率に1.3の補正係数を適用している。
こういった取り組みに加え、12月2日から新たな対策を実施する。工事に係る支障木の伐採等費用について、見積りによる積算を実施するほか、これまで適用外だった吹付工や植生マット張工などの法面工事を山林砂防工の適用範囲に追加する。また、平坦部に近接する工事の適用要件も現行の100m以上から20m以上に緩和する。