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林道事業2件の継続を了承 宮崎県公共事業評価委員会

 宮崎県公共事業評価委員会(谷口義信委員長=宮崎大学名誉教授、委員10人)の2019年度第1回会合が11月7日に開かれた。会合では、環境森林部が所管する林道事業「銀鏡・小川線」(開設)と「長迫・小原線」(舗装)の再評価を実施。事業内容等を担当者が説明し、対応方針の原案どおり事業を継続することを委員が了承した。

 公共事業評価は、一定規模以上の事業の必要性と効果を客観的に評価することで、効率的・効果的な社会資本の整備を実現するために実施するもの。事業着手前に重要度や投資効果等を評価する事前評価、着手から一定年数経過時点で進捗状況や効果等を把握する再評価、事業完了後に効果や影響等を確認する事後評価に分かれる。

 7日に開かれた会合では、地方創生道整備推進交付金を活用した森林基幹道「銀鏡・小川線」(西都市)と同じく「長迫・小原線」(日向市・美郷町)の再評価を実施。林道の役割や適切な森林整備、県内の林道整備状況、林内路網密度などを示した上で、各事業の進捗状況や計画の変更箇所、今後の見通しなどを委員に説明した。

 銀鏡・小川線は、西都市銀鏡字長須田と杖立を結ぶ森林基幹道路を開設することで、効率的な森林経営や森林の適正管理、観光施設へのアクセス性の改善、並行する県道等の災害時の代替路といった機能を持たせるもの。2004年度に採択された。全体延長は6691m(全幅員5m)で、総事業費は約15億円を見込む。

 18年度末時点の進捗率は、事業費ベースで約56%(8億5100万円)、延長ベースで約44%(2971m)。土質が脆弱な区間が多く、大雨等による崩壊への対策を講じながら施工を進めていることや、地元の要望を踏まえ、詳細設計段階で一部区間の線形を見直し、整備区間が延伸したことから、事業が長期化している。

 施工に際しては、L型擁壁工を採用するなどして切土と盛土のバランスをとり、現場内に大盛土施設を設置して残土運搬経費を縮減しているほか、開設に伴い生じる根株の現場内での活用にも努めている。完成区間は既に供用しており、残区間についても引き続き路線の開設を図り、28年度までの全線開通を目指している。

 一方、長迫・小原線は、日向市東郷町山陰字長迫と美郷町南郷清水谷小原を結ぶ既設の森林基幹道を舗装し、効率的な森林経営や森林の適正管理、林業の収益性向上、災害時の迂回路といった機能を持たせるもの。09年度に採択された。全体延長は2万2523m(全幅員5m)で、総事業費は6億5000万円を見込む。

 18年度末時点の進捗率は、事業費ベースで約71%(4億6100万円)、延長ベースで約74%(1万6752m)。路床試験で舗装厚を決定しているが、一部区間で想定よりも舗装厚が増えたことに加え、自然災害に伴う法面崩壊や路側決壊で工事箇所まで通行できない期間が生じたため、事業の進捗が計画より遅れている。

 施工に際しては、掘削した土砂を搬入する残土処理場の林道沿線上での確保に努め、嵩上げ工法と比較して経済的に有利な掘削工法を採用するなど、事業費の縮減を図っている。車両の円滑な通行の確保や降雨等による路面侵食を防止するため、未舗装区間についても引き続き整備を行い、22年度までの完成を目指している。