▲写真は挨拶する小畠会長、表彰式、式典の模様
一般社団法人宮崎県地質調査業協会(小畠淳二会長)は11月1日、宮崎市内で協会創立40周年の記念大会を開いた。式典には、多数の協会員に加え、宮崎県の鎌原宜文副知事や国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の神山泰所長ら多くの来賓が出席。創立40周年の節目を祝い、協会及び会員企業の更なる飛躍と発展へ意を新たにした。
宮崎県地質調査業協会は、1968年10月に会員8社で任意団体として発足。地域社会に貢献することを目的に、79年11月には会員12社で社団法人としてのスタートを切った。94年5月には協会の名称を現在の宮崎県地質調査業協会に変更。国の法人改革に伴い、2013年4月に一般社団法人へ移行し、現在に至っている。
最大38社だった会員数は、社会情勢の変化や県外企業の退会等で2009年に19社まで落ち込み、一時は協会の運営も困難な状況にあった。その後、会員の新規加入や経費の見直し・削減によって運営も軌道に乗り、現在は26社で組織している。総務・広報と技術の2つの委員会活動を通じ、会員間の交流と合意形成を図っている。
式典で挨拶に立った小畠会長は、地質調査が野外でのフィールドワークに主眼を置いた自然相手の業種であり、可視化できない地下の状況を調査する業務であることを説明。構造物の建設のみならず、国土保全対策など建設全般にわたる最も重要で基礎的な情報を提供する役割を協会員が担っていることを強調した。
また、各地で相次ぐ自然災害で多くの人命や財産が失われ、本県でも巨大地震による甚大な被害が予想されていることから、万全の対策が求められていることに言及。これを踏まえ「社会の要請に応えるとともに、宮崎県における地盤地質の主治医を目指し、技術の研鑽に努めていく」と意気込みを語った。
小畠会長は、「こうした中で40周年を迎えられたことは、会員各位の理解と協力はもちろんのことながら、関係各位の温かい御指導のおかげ」と出席者に感謝の意を示すとともに、今後益々の理解と支援を呼び掛け、挨拶を締めくくった。
総務・広報委員長の金野尾司氏は、協会の40年の歩みと主な活動内容を紹介。1979年9月に刊行した宮崎市地盤図(98年4月改定)が現在も有効活用されていることや、地質調査積算基準手引き書を作成したこと、県主催の研修会への協力や研修会・講演会等の開催に現在も取り組んでいることを説明した。
来賓祝辞で河野俊嗣知事(代読=鎌原副知事)は、防災・減災対策を推進するための地質調査が、適切な設計及び工事を進める上で重要な役割を担っており、地質の調査等に関する技術の維持・向上が、公共工事の品質確保や担い手の確保を図る観点からも重要であることを踏まえ、県土の強靱化に向けた支援と協力を求めた。
宮崎河川国道事務所の神山所長は、同事務所が所管する国道220号や東九州自動車道に於いて特異な地質や地盤に悩まされていることを踏まえ、事業の上流を担う会員の技術の研鑽と活躍に期待を込めた。宮崎県地質調査業協同組合の亀井慎也理事長は、創立40周年の節目を迎えたことに対して祝いの言葉を寄せた。
表彰式では、協会の発展に貢献した元理事及び監事に感謝状が贈られたほか、永年にわたって地質調査業務に従事した功労者に表彰状が贈られた。受賞者を代表して謝辞を述べた前会長の坂東昭男氏は、「皆様に久しぶりに会えて嬉しく思う。今日の感激を糧に、地質調査業界の地位の向上と発展に微力を尽くす」と意気込みを語った。
記念式典の開催に先立ち、福岡教育大学教育学部教授で、日本応用地質学会九州支部長を務める黒木貴一氏による記念講演が行われた。黒木氏は「自然災害調査での被災地の見方・考え方」をテーマに、自身が調査団長を務めた熊本地震及び九州北部豪雨災害での事例を挙げながら、防災意識の維持に関する課題や展望を示した。
表彰受賞者は次のとおり(敬称略)。
▽感謝状=坂東昭男(総合開発工業)、新城精一(親協)、粟生山仁志(エースコンサルタント)、松川浩一(国土地質調査事務所)、大坪邦彦(元・宮崎産業開発)、兒玉正(宮崎綜合会計事務所)、佐藤巧二(前専務理事兼事務局長)
▽表彰状=坂本修一(共同技術コンサルタント)、福岡親(国土地質調査事務所)、杉尾久幸(前同)、田中寛久(ジオプラン)、坂東大悟(総合開発工業)、河野修一(前同)、河野優一(前同)、野中秀昭(前同)。
■祝賀会を開催、次の10年へ英気養う
式典終了後に行われた祝賀会では、小畠会長が「次の10年に向けた新たな出発」と節目を位置付け、「明日への英気を養って」と挨拶した。続いて、延岡河川国道事務所の田浦峰星所長(代理=川内学副所長)と宮崎県県土整備部の瀬戸長秀美部長が挨拶し、県内で進むプロジェクトで専門的な知識を十分に発揮してもらうよう呼び掛けた。
宮崎市建設部土木課の渡邊雄二課長の乾杯の発声で開宴し、参加者は趣向を凝らしたアトラクションや会食・歓談を通じて、互いの親交と交流をより深めた。宮崎大学名誉教授の横田漠氏の発声に合わせて全員で万歳三唱を行い、協会及び会員企業の更なる発展と飛躍へ意を新たにし、40周年記念大会を滞りなく終了した。