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躯体や基礎など変更、事業費も増額 土々呂地区津波避難施設

 延岡市は、土々呂地区に建設する複合型津波避難施設の整備計画を変更した。他の地区と比べて津波浸水深や津波波力が大きく、当初の計画では建物の構造に影響を及ぼす可能性が生じたため、躯体の構造をRC造からSRC造に、基礎の杭径を500㎜から1800㎜に変更し、液状化対策として地盤改良を行う。これに伴い、概算工事費は当初計画から5.8億円増の8億8000万円程度を見込む。

 南海トラフ巨大地震への備えとして、市は高台や避難ビル等の津波指定緊急避難場所がない地域に津波避難施設を整備している。土々呂地区では、下洲ノ鼻区や茶屋区及びその周辺地区の住民を津波被害から守り、地域住民が防災・減災に関する知識を高めながら交流が図れるよう、防災学習室等を兼ね備えた複合型の施設を整備する。

 具体的には、旧消防署土々呂出張所と隣接する延岡市役所伊形支所(土々呂町3丁目846番地110号)を解体し、跡地に3階建の複合型津波避難施設を整備する。避難想定人数は380人で、これに基づく避難スペース(190m2)のほか、40人~60人が収容できる防災学習室(約130m2)や備蓄倉庫(約100m2)も配置する。

 18年度に施設の実施設計を行ったところ、土々呂地区は他の地区と比べて津波浸水深や設計に用いる津波波力が想定以上に大きく、他地区の施設を参考としていた建物の構造に影響を及ぼし、設計の変更を行う必要が生じたため、あらためて事業計画の変更内容をホームページ等で公開し、計画に対する意見を市民から募集する。

 変更計画によると、柱及び梁部材等を当初計画のを鉄筋コンクリート造から鉄骨鉄筋コンクリート造に変更することで躯体の強化を図るとともに、2階に計画していた防災学習室を1階に変更し、2階部分は柱と梁のみとして構造の安定を図る。

 基礎部に関しては、柱及び梁等の部材を強化したことで躯体の重量が増したことに加え、津波波力や地盤の影響も考慮し、杭径をφ500㎜からφ1800㎜に変更する。また、地質調査で液状化する地層があることが判明したため、地盤改良も行う。

 計画の変更に伴い、概算工事費は大幅増となる。当初計画で1億2千万円程度としていた基礎杭工事は、基礎杭の形状変更や地盤改良の追加に伴い3億8451万円に増額。SRC造に変更する躯体工事は、当初計画の約5千万から3億4516万円に増額する。仕上げや設備工事、外構工事を含む全体費は8億8000万円程度となる。

 変更計画に関しては、津波施設等の設計指針を作成している国土交通省国土技術政策総合研究所と協議を行い、「妥当である」との結論を得ているという。整備スケジュールによると、19年度は伊形支所解体工事のほか、新施設の工事に着手する見通し。20~21年度にかけて基礎工事、躯体工事、設備工事、外構工事などを行う。

土々呂地区複合型津波避難施設整備事業の概要