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建設職人基本法改正へ 「手すり先行工法」義務化

 与野党の国会議員でつくる「『建設職人基本法』超党派フォローアップ推進会議」がまとめた建設職人基本法の改正案が明らかになった。建設工事従事者の安全・健康の確保に官民格差があるとして、足場からの墜落・転落防止対策として「手すり先行工法」の設置を義務化する他、第三者による足場の安全点検も義務付ける。安全衛生経費が下請けまで行き渡るよう、経費を別枠で管理する制度も設ける。

 建設職人基本法は、建設工事に従事する技術者・技能者の健康と安全を確保する責務を国・都道府県に課し、法政上・財政・税制上の措置を講じるよう求めた議員立法。2016年12月に成立し、翌17年6月には同法に基づく基本計画が閣議決定されている。基本計画では、足場からの墜落・転落防止対策の強化、安全衛生経費が確実に支払われる実効性のある対策、一人親方労災保険の特別加入促進などを関係省庁に求めた。

 推進会議では、同法成立後も足場からの墜落・転落防止対策に官民格差があると問題視。法改正により、国土交通省の直轄工事などに採用されている「手すり先行工法」の設置を民間工事でも義務付けるとした。合わせて、足場の組み立て作業を行った者以外の「十分な知識経験を有する者」が点検を行うことを義務付ける。

 足場を含めた安全衛生経費の定義を定めるための根拠も法律に明文化する。その上で、安全衛生経費を他の経費と別枠で管理する制度を創設する。さらに、発注者、元請け、下請けの間を調整する「コーディネーター」を置き、安全衛生経費が発注者から元請けを経由し、下請けまで確実に支払われる枠組みも整える。

 推進会議では、各党の党内手続きを終えた上で、開会中の臨時国会への改正案提出を目指している。