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宮崎港の港湾計画変更を了承 交通政策審議会港湾分科会

 国土交通省は11月19日、交通政策審議会港湾分科会を開き、川内港の港湾計画改定と、宮崎港・大分港の港湾計画の一部変更についていずれも「適当である」との答申を受けた。川内港では埠頭再編により耐震強化岸壁を新たに計画に位置付け、緊急物資輸送網を強化する。

 川内港(薩摩川内市)は、京泊地区から唐浜地区へとコンテナヤードを移転。唐浜地区に新規用地を造成し、新たに水深12m、延長230mの耐震強化岸壁を建設する。両地区の間に位置する防砂堤を撤去。フェリー・旅客船埠頭を計画から削除し、新たに廃棄物処理計画を位置付ける。計画には新しく水深4.5m、延長80mの公共埠頭や、小型船だまりなども盛り込んだ。

 宮崎港(宮崎市)は、北航路の幅員を20m拡幅し、300㍍とする。航路・泊地の面積を0.5㌶拡大し、19.5㌶とする。大分港(大分市)は、大在地区の岸壁2バース(水深9m)の計画を変更。延長を20m延伸し、合計460mとする。また、耐震強化岸壁に位置付ける。新規の臨港道路も記載する。

■港湾も気候変動対応、交政審に防災部会

 国土交通省は、相次ぐ台風で港湾施設が被害を受けたことを受け、交通政策審議会港湾分科会に「防災部会」を設置し、11月19日に初会合を開いた。台風による高潮・高波・暴風被害が多発しており、ハード・ソフト一体となった総合的な防災・減災対策を検討。護岸の補強・嵩上げや耐震強化岸壁など、気候変動に伴う災害の激甚化への対応を加速する。

 2018年の台風21号や今秋の台風15号・台風19号によって、阪神港や京浜港などでも高潮・高波・暴風による被害が発生し、社会経済に影響が出た。

 一方、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、気温上昇で海面水位が上がり、100年に1度の規模で発生していた高潮災害が、2050年以降は毎年のように発生すると予測している。

 防災部会では、こうした国内外の状況を踏まえ、気候変動による災害の激甚化・頻発化に対応するためのソフト・ハード対策を検討。国交省は初会合で、気候変動による将来の海面水位の上昇に備え、長期的な視点に立った護岸の補強・嵩上げの必要性を指摘し、陸上交通網の代替として港湾物流が機能するよう、耐震強化岸壁の整備を拡充する考えも示した。

 防災部会ではこの他、熊本地震や西日本豪雨で発生した災害廃棄物を海上物流で運搬したことを踏まえ、港湾区域内に災害廃棄物の仮置場を確保することもも検討する。高潮・高波・暴雨からの被害を軽減するため、防衝工の設置や避泊地の確保についても検討する。