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外国人材、回答企業2割が「雇用したい」 宮崎県調査

 宮崎県が県内の建設業者を対象に行った外国人材の確保等に関するアンケート調査で、回答した企業のうち約2割が今後、外国人材を雇用する意思を持っていることが分かった。一方で、外国人材の雇用に際して、コミュニケーションや言葉、生活習慣、考え方の違い、能力、雇用手続きなどに不安を抱えていることも分かった。

 11月1日に行われた宮崎県議会の産業人財育成・外国人雇用対策特別委員会で、農業分野や漁業分野、林業分野とあわせて、建設分野に於ける担い手確保・育成対策、外国人材の受入状況を公共3部の担当者が委員に説明した。

 2015年時点に於ける県内の建設業就業者数は4万3763人。建設投資額や許可業者数の減少に伴い、1995年のピーク時(6万7292人)から約35%減少している。また、建設業就業者の年齢構成比(15年時点)は、50歳以上が約52%、29歳以下が約9%で、若手人材の不足や従事者の高齢化が深刻化している。

 一方、宮崎労働局がまとめた県内の建設分野に従事する外国人の数は、2018年度時点で244人となっており、15年度の43人から5倍以上に増加した。在留資格別では、技能実習生(34人→208人)や高度専門職(1人→23人)が大幅に増加。国籍別では、ベトナム(196人)や中国(20人)が多くを占めている。

 こういった状況を踏まえ、宮崎県は今年7月、県内建設業者に対して外国人材の確保等に関するアンケート調査を実施。外国人の雇用状況や従事させている職種、雇用していない理由(不安がある場合の内容)、今後の外国人の雇用希望について尋ねた。調査対象者は1546者で、このうち1017者(回収率66%)が回答した。

 外国人の雇用状況に関して、雇用していると答えた企業は36者(3.5%)、雇用していないと答えた企業は974者(95.8%)、過去に雇用していた企業は7者(0.7%)で、雇用していない企業が大多数を占めた。従事させている職種は、施工管理業務が23%、技能労働者が74%、その他(経理等)が3%だった。

 外国人を雇用していない理由で最も多かったのは「不安がある」で約38%。このほか、「現体制維持」が約25%、「人手不足ではない」が約12%、「外国人材不要」が約9%、「その他」が約16%だった。

 前述の質問で「不安がある」と答えた企業に不安内容(複数回答可)を尋ねたところ、「コミュニケーション・言葉」が312者で最も多かった。このほか、「生活習慣」(161者)、「考え方の違い」(153者)、「能力」(153者)、「雇用手続き」(147者)、「文化・宗教の違い」(139者)、「住宅」(114者)、「他の社員との関係」(109者)、「教育」(102者)、「コスト面」(62者)といった回答も多かった。

 今後の外国人の雇用に関する質問では、雇用したいと答えた企業が214者(約21%)、雇用しないと答えた企業が722者(約71%)、どちらでもないと答えた企業が81者(約8%)で、約2割の企業が外国人材を雇用する意思を持っていることが分かった。

 外国人材の雇用に取り組む企業を支援するため、宮崎県は「建設産業外国人材確保支援事業」を一般社団法人宮崎県建設業協会に委託している。同事業では、県内に本店があり、建設業許可を有する建設業者を対象に、高度専門職及び特定技能1号・2号を雇用する際に必要となる経費(旅費・受講費、通訳費等)の一部を補助する。