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大深度地下水、高精度の調査技術を開発 アサノ大成基礎エンジ

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▲新しい地下水採取技術

 オリエンタルコンサルタンツグループのアサノ大成基礎エンジニアリング(平山光信代表取締役社長)は、大深度地下の地下水を効率よく採取して地下水中の微生物を高い精度で分析できる技術を開発し、特許を出願した。地盤の透水性や採取深度、採取量にもよるが、おおむね従来の10分の1程度の時間で地下水を採取できるという。採取した地下水中の溶存金属イオンが顕微鏡観察を阻害することなく、微生物数をスムーズに計測できるのもこの採水装置と採水方法、地下水中の微生物分析方法の特徴だ。

 これらの技術は、高レベル放射能廃棄物を大深度の地層に処分しようとした場合、その適地選定には地下水の流動性を数万年から数十万年単位で捉え、廃棄物の格納容器に影響を及ぼす恐れのある微生物についてもその動態などを正確に把握する必要があることから開発された。

 通常、基礎杭の支持地盤の上面から10㍍以深が大深度とみなされているが、さらに「深部」と呼ばれる数百㍍~1200㍍の地下の状態を正確に知るためには、狙ったポイントの地下水を混水させないように効率的に採水し、地下水中の微生物を採取する必要がある。

 同社が開発した地下水採取と分析方法では、採水現場に仮設ラボも設置。予備採水を行って溶存金属イオンが顕微鏡観察を阻害しないよう折出抑制を行った上で第2次予備採水を行い、微生物量を計測。同社の経験値に基づく目安を基に必要な採水量を決める。仮設ラボでは微生物の活性を抑制する処理も行い、実験室での計測精度を向上させる。

 同社は、開発した採水・分析方法は、長大トンネルの築造が必要になるリニア中央新幹線や石油備蓄基地の建設などの大深度地下構造物の構築にも有効な調査・分析方法だとして、官民の発注者にこの技術の採用を提案していく考えだ。

 問い合わせ先は同社経営管理本部、電話03(5246)4150。